IT資産管理ツール選定のきっかけ
手作業管理による、台帳更新の停滞
SS1導入以前は、グループ会社を含めた約8,000台の機器をExcelで管理している状態であった。膨大な台数を手作業で管理しなければならないことから、異動による機器の所在地・使用者情報の変更といった台帳更新を逐一おこなうことができず、キッティング時点の情報で更新が止まってしまっていることもままあった。また、更新時における手作業特有のヒューマンエラーも生じており、その点でも台帳の正確さに課題がある状態であった。
セキュリティとガバナンスの強化
同時期、さまざまな経営リスクに対応するために、将来的なセキュリティ対策・内部統制の強化も検討していた。例えば、USBメモリなど記憶デバイスの接続管理やPC操作ログの収集、PCのログオン/ログオフ情報の取得による正確な労務管理などである。これらの機能が搭載されており、かつ前述の台帳管理の問題を解決できるツールとして、IT資産管理ツールの導入を検討するに至った。
SS1に決めた理由
使用者のリテラシーを選ばない、IT資産管理のしやすさ
当初は他社製品の導入を検討していた時期もあったが、その製品は専門知識がないと管理できないという点で懸念があった。現場メンバーはシステムに詳しい技術者ばかりではないため、あまり複雑なツール導入しても使いこなすことは難しい。よって、ユーザーライクな使用感を持つツールのほうが望ましいのではと考えた際、長年使い慣れたExcel調で構成されているSS1の管理画面は魅力だった。
営業・サポート・開発の総合力と、製品としての将来性
ディー・オー・エスの、会社全体でユーザーに向き合う姿勢も選定理由の一つだった。当時、SS1に仕組みとして存在していなかった「インターネット経由での機器情報収集」についてディー・オー・エスの担当営業に相談したところ、SS1のサポート/開発と当社インフラチームで仕組みの共同開発をおこなう運びとなったことは強く印象に残っている。このことから「この製品であれば、将来に期待できそうだ」と感じられたため、SS1の導入を決定した。
導入効果
作業工数を削減しつつ、台帳管理の徹底に成功
SS1が自動で機器情報を収集するため、課題であった手作業による台帳管理からの脱却に成功した。MACアドレスなど、これまでのExcelでは管理できなかった情報まで取得できるようになったことは大きな変化であると感じている。もちろんヒューマンエラーによる記載ミスもなくなり、台帳の正確性も向上した。
また、SS1には連携できるActive Directoryのドメイン数に制限がないため、複数のドメインを作成して運用をおこなっていた元の体制のまま導入できたこともうれしいポイントである。
加えて、ヘルプデスク業務をおこなう際にもSS1を活用している。以前はトラブルがあった際、問題の機器を特定するためにユーザーへさまざまなヒアリングをおこなう必要があったが、現在は機器名を教えてもらえばその情報をSS1上で検索するだけでよくなった。業務生産性の向上という点で、SS1を大いに役立てている。
インターネット収集による、社内外PCの統合管理
SS1のサポート/開発部門の協力を得て、AWSのサービスであるELB(Elastic Load Balancing)を活用した社内ネットワークにつながっていないPCに対するインターネット経由での情報収集が可能になった。これにより、リモートワーク体制下での機器管理も問題なくおこなえている。
「今後、社外機器に対する情報収集のスキームは絶対必要になるだろう」と考えていただけに、この構成が実現したことは大変喜ばしく思っている。
レジストリ設定の一括変更機能で、通信障害の長期化を回避
SS1導入後、VPNに接続している機器すべてに影響するネットワークトラブルが発生したことがあった。原因を調査した結果レジストリ設定の変更で解消できることが判明したものの、数千人の社員に向けてバッチファイルを実行させるのも現実的ではなく、復旧には多大な工数を要することが見込まれていた。そこでふと、SS1にはレジストリ設定の一括変更機能があったことに思い至り、この機能を活用したところ、ユーザーに特別な操作をさせることなく当初の予想よりも大幅に短い時間で障害を解消することができた。
これは当初想定していなかった活用方法であったが、費用対効果の見えづらいIT資産管理ツールを導入した効果が目に見えて表れた出来事だったため、社内でも話題になったほどである。「SS1を導入してよかった」と強く感じた瞬間であった。
今後の展望
ガバナンス体制の強化
当初よりスコープに入れていた、USB制御や各種ログ取得によるセキュリティの強化も推進していく予定である。また、ソフトウェアライセンスの管理についても、SS1へ移管することで業務効率化を図れないか検討している。SS1の各機能を活用することで、企業としてのガバナンス体制強化につなげていきたい。