UEBAとは?UBAやSIEMとの違い・仕組み・機能をわかりやすく解説

UEBAは、ユーザーやデバイスの「振る舞い」を分析し、サイバー攻撃の兆候を検知するセキュリティ技術です。従来のセキュリティ対策では見つけにくい内部不正やアカウント乗っ取りなどを特定する仕組みを持ち、多くのセキュリティ機能と連携して動作します。
本記事では、UEBAの基本的な仕組みから、類似のソリューションであるUBA・SIEMとの違い、具体的な機能や導入のポイントまでをわかりやすく解説します。
・UEBAが注目される背景とセキュリティ上の必要性
・UEBAの根幹をなす2つの主要な機能
・UEBAとUBA・SIEMとの役割の違い
・UEBA導入で実現できる4つのセキュリティ対策
・UEBA導入を成功に導くための3つのポイント
・UEBAに関するよくある質問
・まとめ
・内部リスクの可視化ならログ分析サービス「SS1 Risk Analyzer」
UEBAとは?

UEBAとは「User and Entity Behavior Analytics(ユーザーとエンティティの行動分析)」の略で、読み方は「ユーイービーエー」です。従業員などの「ユーザー」や、サーバー・端末などの「エンティティ」の行動を継続的に分析し、サイバー攻撃や内部不正の兆候を捉えるセキュリティ技術を指します。
UEBAが注目される背景とセキュリティ上の必要性

従来のファイアウォールなどに代表される境界型防御では、内部に侵入した脅威や内部関係者による不正を防ぐことが困難です。
近年、働き方の多様化やクラウド利用の拡大により、守るべきIT環境の境界線は曖昧になっています。このような状況下で、内部不正や標的型攻撃といった巧妙な脅威に対抗するため、ユーザーやデバイスの振る舞いに着目するUEBAの重要性が高まっています。
2026年以降のDX推進においても、先進的なセキュリティとは何かを考える上で欠かせない技術です。
UEBAの根幹をなす2つの主要な機能

UEBAの脅威検知は、主に2つの連続したプロセスによって実現されます。
まず、機械学習を用いて分析対象となるユーザーやエンティティの平常時の行動をモデル化し、次に、そのモデルから外れる異常な行動をリアルタイムで検知します。この一連の機能が、未知の脅威や内部不正の兆候を早期に発見するための鍵となるのです。
機械学習によるユーザー行動のベースライン化
UEBAは、まず分析対象となるユーザーやエンティティの行動データを継続的に収集します。
収集するデータは、ログイン時刻/アクセス先のサーバー/使用するアプリケーション/通信量/ファイルの操作履歴などさまざまです。機械学習アルゴリズムがこれらの膨大なデータを分析し、各ユーザーやエンティティに固有の「平常時の行動パターン」を自動で作成します。
この基準となる行動パターンが「ベースライン」と呼ばれ、以降の異常検知の基礎となっていくのです。
逸脱した行動をリアルタイムで検知する異常検知機能
ベースラインが作成されると、UEBAはリアルタイムで収集される行動データとベースラインを常に比較し大きく逸脱した行動を「異常」として即座に検知します。検知された異常行動にはリスクスコアが付与され、危険度が一定の基準を超えるとセキュリティ管理者にアラートで通知する監視機能が働く仕組みです。
検知できる異常行動の具体的なシナリオについては、後述の「UEBA導入で実現できる4つのセキュリティ対策」で詳しく解説します。
UEBAとUBA・SIEMとの役割の違い

組織のセキュリティ課題を解決するためには、「SIEM」や「UBA」といった関連ソリューションとUEBAとの違いを正確に理解することが重要です。ここでは、UEBAとよく比較されるこれら2つの技術との機能的な違いや、それぞれのアプローチの差について解説します。
ユーザー行動の分析に特化したUBAとの違い
UBA(User Behavior Analytics)は、UEBAの前身ともいえる技術で、その名の通り分析対象を「ユーザー」の行動に限定しています。主に内部不正対策として、従業員の不審な行動を検知することに主眼が置かれていました。
これに対してUEBAは、ユーザーに加えてサーバーや端末といった「エンティティ」の振る舞いも分析対象に含めます。これにより、マルウェアに感染した端末の異常な通信などユーザーが直接関与しない脅威も検知可能となり、より広範囲なセキュリティリスクに対応できます。
膨大なログ収集を得意とするSIEMとの違い
SIEM(Security Information and Event Management)は、ネットワーク機器やサーバーなど多種多様なITシステムからログを収集・一元管理し、それらを横断的に分析するツールです。SIEMとUEBAの最も大きな違いは、分析のアプローチにあります。
SIEMは既知の攻撃パターン(シグネチャ)に基づいて脅威を検知することを得意としますが、未知の脅威や内部不正の兆候を捉えるのは困難な場合があります。一方、UEBAはSIEMが収集したログなどを活用し、「振る舞い」に焦点を当てることで未知の脅威を発見可能です。
UEBA導入で実現できる4つのセキュリティ対策

UEBAは、平常時の振る舞いからの逸脱を検知するアプローチにより、従来のセキュリティ対策では見過ごされがちだったさまざまな脅威に対応できます。特に、正当な認証情報を悪用する攻撃や、内部関係者による不正行為の発見にその真価を発揮するのが特徴です。
ここでは、UEBAを導入することで実現可能となる代表的な4つのセキュリティ対策について具体的に解説します。
内部関係者による不正行為の早期発見
UEBAは、従業員や業務委託先の担当者など、正規の権限を持つ内部関係者による不正行為の兆候を早期に発見できます。例えば、退職予定者が普段アクセスしない機密情報フォルダにアクセスしたり短時間で大量の顧客データを自身のPCにコピーしたりといった行動は、内部不正の典型的なパターンです。
UEBAはこうした通常業務から逸脱した振る舞いを検知し、情報漏洩を未然に防ぐための警告を発します。
外部からのアカウント乗っ取り被害の防止
フィッシング詐欺などで盗まれたIDとパスワードを用いて、攻撃者が正規の利用者になりすましてシステムに侵入する「アカウント乗っ取り」は深刻な脅威です。UEBAは、ログインしたユーザーの振る舞いを分析することで、アカウントが乗っ取られた可能性を検知します。
例えば、普段とは異なる国や時間帯からのログインやログイン後の不審なコマンド実行など、本人らしからぬ行動パターンを捉え、アカウントの不正利用による被害拡大を防ぎます。
マルウェアに感染したデバイスの不審な挙動の特定
マルウェアに感染したPCやサーバーは、攻撃者の遠隔操作によって内部ネットワークの他の機器への感染拡大(ラテラルムーブメント)や、外部のC2サーバーとの通信といった不審な挙動を開始するのも特徴です。これらの活動はユーザーが直接操作しているわけではないため、本人は気づきにくいものです。
UEBAは、デバイス(エンティティ)自体の振る舞いを監視することで、こうしたマルウェアによる異常な通信やプロセス実行を特定し、迅速な対応を可能にします。
機密データや個人情報の不正な持ち出しの抑止
組織の重要資産である機密データや個人情報の保護は、セキュリティにおける最重要課題の一つです。UEBAは、重要なデータが保管されているサーバーやファイルへのアクセスパターンを監視し、不正な持ち出しにつながるリスクの高い行動を検知します。
権限のないユーザーからのアクセス試行や、一人のユーザーによる異常な量のデータダウンロードなどを捉えることで、情報漏洩インシデントの発生を抑止する効果が期待できます。
UEBA導入を成功に導くための3つのポイント

UEBAは強力なセキュリティソリューションですが、単に導入するだけで期待した効果が得られるわけではありません。その効果を最大限に引き出すためには、事前の計画と継続的な運用が必須です。
ここでは、導入前に検討すべき具体的なサービス内容や注意点を解説します。
既存のセキュリティ製品と連携させた運用を計画する
UEBAの分析精度は、インプットされるデータの質と量に大きく依存します。
そのため、SIEMやEDR/IT資産管理ツール(ログ管理ツール)/ID管理システム(IDM)/プロキシなど既存のセキュリティ製品が収集・記録しているログデータと連携させることが極めて重要です。導入前には、どの製品からどのようなデータをUEBAに取り込むのかを明確にし、システム間の連携方法を具体的に計画する必要があります。
これにより、より多角的な視点から精度の高い振る舞い分析が可能になります。
IT資産管理ツールで取得したログをセキュリティソフトへ連携した事例
実際に、IT資産管理ツールで取得したログ情報を外部のセキュリティソフトへ連携・活用した事例があります。
新関西製鐵株式会社様では、通常時の動き(ベースライン)の把握に「SS1クラウド」で取得したログ情報を活用されたとのことです。詳細は下記の導入事例をご参照ください。
分析結果を評価できる専門的な人材を確保する
UEBAは異常な振る舞いを検知してアラートを発しますが、そのアラートが本当にセキュリティ上の脅威なのか、あるいは業務上発生した例外的な行動なのかを最終的に判断するのは人間です。この判断には、セキュリティに関する深い知識と自組織の業務内容への理解が求められます。
したがって、アラートの内容を適切に評価し、対応を決定できる専門的な人材の確保や育成も必要です。社内での確保が難しい場合は、SOC(Security Operation Center)サービスを外部に委託することも有効な選択肢となります。
導入から運用までのトータルコストを事前に把握する
UEBA導入のコストを検討する際は、製品のライセンス費用や初期構築費用だけでなく、運用にかかる費用も含めたトータルコスト(TCO)で評価することが重要です。具体的には、既存システムとの連携にかかる改修費用、分析やインシデント対応をおこなう担当者の人件費、あるいはSOCサービスを利用する場合の月額費用などです。
これらの費用を事前に洗い出し、予算計画に組み込むことで導入後の安定した運用を実現できます。
UEBAに関するよくある質問

ここでは、UEBAの導入を検討する際に多くの担当者が抱く疑問について簡潔に回答します。
UEBAを導入すれば他のセキュリティ対策ツールは不要になりますか?
いいえ、不要にはなりません。UEBAは振る舞い検知に特化しており、ウイルス対策ツールやファイアウォールといった他のセキュリティ対策とは役割が異なります。
それぞれの対策が持つ防御機能を組み合わせる「多層防御」の一環としてUEBAを導入することで、全体のセキュリティレベルを向上させることが可能です。
UEBAはどのような組織に特に推奨されますか?
内部不正や情報漏洩のリスクが高い組織、またリモートワークを推進している組織に特に推奨されます。具体的には、重要な知的財産や顧客情報を扱う製造業、金融機関、医療機関などです。
従業員の行動や社内外からのアクセスを監視するUEBAの強みを最大限に活かせます。
UEBA製品を選ぶ際に最も重要な比較ポイントは何ですか?
分析精度、既存システムとの連携性、運用負荷の3点が重要です。「誤検知が少ないか」「自組織のSIEMやEDR製品と容易に連携できるか」「アラート分析を自組織でおこなえるか」などを確認しましょう。
まとめ

UEBAは、ユーザーとエンティティの振る舞いを機械学習で分析し、平常時から逸脱した行動を検知するセキュリティソリューションです。この仕組みにより、従来の対策では発見が難しかった内部不正やアカウント乗っ取りといった未知の脅威に対応できます。
1つの単独ソリューションとしてではなく、SIEMやEDRなど既存のセキュリティ製品と連携させることでその効果を最大化し、より強固なセキュリティ体制の構築が可能です。
内部リスクの可視化ならログ分析サービス「SS1 Risk Analyzer」
本記事で解説した「振る舞いからの異常検知」を自組織のセキュリティ対策に取り入れたいとお考えの方には、IT資産管理ツール「SS1」の連携ソリューションである「SS1 Risk Analyzer」がおすすめです。
「SS1 Risk Analyzer」は、SS1とエルテス社が提供するリスク解析ソリューション「Internal Risk Intelligence」を連携させたログ分析サービスです。SS1で収集した詳細な操作ログを独自の分析システムに取り込み、さらに専門アナリストによる再分析をおこなうことで、単なるログの記録だけでは発見できない「人」に潜むリスクを検知します。
不審な操作ログを行動パターンから解析するため、「退職時の情報持ち出し」や「権限を持たない社員による機密文書の探索・不正コピー」といった情報漏洩の兆候を早期に捉えられます。また、セキュリティリスクだけでなく「勤務時間外労働の増加」といった社員のメンタルヘルスの異常を未然に察知することも可能です。
SS1 Risk Analyzerの詳細については、以下の紹介ページをご覧ください。
また、実際に本サービスをご活用いただいているアンファー株式会社様では、SS1で取得したログをもとに潜在リスクのレポート化を実施されています。詳細は下記の導入事例をご参照ください。

IT資産管理ツールSS1/SS1クラウドを開発・販売している、株式会社ディー・オー・エスの営業企画部メンバーで構成されています。IT資産管理・ログ管理・情報セキュリティ対策など、情シス業務の効率化に役立つ最新トレンド情報を随時発信中!

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