UEBAとは?UBAやSIEMとの違い・仕組み・機能をわかりやすく解説

UEBAとは?UBAやSIEMとの違い・仕組み・機能をわかりやすく解説

UEBAは、ユーザーやデバイスの「振る舞い」を分析し、サイバー攻撃の兆候を検知するセキュリティ技術です。従来のセキュリティ対策では見つけにくい内部不正やアカウント乗っ取りなどを特定する仕組みを持ち、多くのセキュリティ機能と連携して動作します。

本記事では、UEBAの基本的な仕組みから、類似のソリューションであるUBA・SIEMとの違い、具体的な機能や導入のポイントまでをわかりやすく解説します。

UEBAとは?

trend-location_information03.png

UEBAとは、「User and Entity Behavior Analytics」の略で、従業員などの「ユーザー」や、サーバー・端末などの「エンティティ」の行動を継続的に分析し、サイバー攻撃や内部不正の兆候を捉えるセキュリティ技術のことです。読み方は「ユーイービーエー」といいます。

UEBAは、4つの要素から構成されています。
「User」はネットワークを利用する従業員などのユーザーを指し、「Entity」はサーバーやデバイスといった実体を示す言葉です。また「Behavior」は対象の振る舞いを意味し、「Analytics」はそれらの行動を分析する機能を指します。

UEBAが注目される背景とセキュリティ上の必要性

trend-windows-update_07.webp

従来のファイアウォールなどに代表される境界型防御では、内部に侵入した脅威や内部関係者による不正を防ぐことが困難です。

近年、働き方の多様化やクラウド利用の拡大により、守るべきIT環境の境界線は曖昧になっています。このような状況下で、内部不正や標的型攻撃といった巧妙な脅威に対抗するため、ユーザーやデバイスの振る舞いに着目するUEBAの重要性が高まっています。

2026年以降のDX推進においても、先進的なセキュリティとは何かを考えるうえで欠かせない技術です。

関連記事

UEBAの根幹をなす4つの主要な機能

trend-windows-defender_01.webp

UEBAの脅威検知は、主に以下4つの機能によって実現されます。

機械学習によるユーザー行動のベースライン化

UEBAは、まず分析対象となるユーザーやエンティティの行動データを継続的に収集します。

収集するデータは、ログイン時刻/アクセス先のサーバー/使用するアプリケーション/通信量/ファイルの操作履歴などさまざまです。機械学習アルゴリズムがこれらの膨大なデータを分析し、各ユーザーやエンティティに固有の「平常時の行動パターン」を自動で作成します。

この基準となる行動パターンが「ベースライン」と呼ばれ、以降の異常検知の基礎となっていくのです。

逸脱した行動をリアルタイムで検知する異常検知機能

ベースラインが作成されると、UEBAはリアルタイムで収集される行動データとベースラインを常に比較し大きく逸脱した行動を「異常」として即座に検知します。検知された異常行動にはリスクスコアが付与され、危険度が一定の基準を超えるとセキュリティ管理者にアラートで通知する監視機能が働く仕組みです。

検知できる異常行動の具体的なシナリオについては、後述の「UEBA導入で実現できる4つのセキュリティ対策」で詳しく解説します。

リスクレベルに応じたスコアリング機能

ベースラインから逸脱した行動を検知した際、その異常度合いに応じてリスクを数値化するスコアリング機能も備わっています。
ユーザーの行動によって生じる脅威の優先順位を判断し、高いスコアの際にアラートを発することで、管理者は迅速な対応が可能です。

長期的な学習によってスコアリングの精度を高めることもでき、低リスクと判断された行動であっても継続的な監視対象として記録されます。
これにより、将来的な大きな脅威への発展を防げます。

脅威の状況を把握しやすい可視化機能

監視対象となっているユーザーやデバイスの行動は、ダッシュボード上で視覚的に分かりやすく表示されます。
この可視化機能により、管理者は一目で現在のセキュリティ状況を把握でき、潜在的なリスクが顕在化する前に対策を講じることが可能です。

複雑なデータが整理された状態で表示されるため、専門的な知識が浅い担当者であっても直感的に状況を理解しやすくなります。
インシデントの予兆を見逃さず、迅速な初期対応につなげるための重要な役割を果たします。

UEBAとUBA・SIEMとの役割の違い

trend-security-measures_08.webp

UEBAは、既存の技術であるUBAやSIEMを補完、あるいは発展させたソリューションです。また、EDRはエンドポイントの監視に特化した製品となります。 それぞれ検知できる範囲や分析の仕組みに独自の特徴があり、組織が直面している課題にあわせて適切に選択しなければなりません。

各ソリューションの主な相違点は以下の通りです。

UEBA UBA SIEM EDR
分析対象 ユーザーおよびエンティティ(機器・端末) ユーザー(人) ネットワーク機器やサーバーのログ全般 エンドポイント(端末)の挙動
検知手法 機械学習による振る舞い分析 ユーザー行動の分析 相関分析・定義済みのルール エンドポイントでの挙動監視・振る舞い検知
得意な領域 未知の脅威や複雑な内部不正の特定 内部関係者による不正検知 ログの一元管理・既知の攻撃検知 外部からの侵入・感染後の対応
導入の目的 デバイスを含めた統合的な異常検知 従業員の不審な動きの監視 法規制対応やログの長期保存 端末内での脅威検知・隔離

ユーザー行動の分析に特化したUBAとの違い

UBA(User Behavior Analytics)は、UEBAの前身ともいえる技術で、その名の通り分析対象を「ユーザー」の行動に限定しています。主に内部不正対策として、従業員の不審な行動を検知することに主眼が置かれていました。

これに対してUEBAは、ユーザーに加えてサーバーや端末といった「エンティティ」の振る舞いも分析対象に含めます。これにより、マルウェアに感染した端末の異常な通信などユーザーが直接関与しない脅威も検知可能となり、より広範囲なセキュリティリスクに対応できます。

膨大なログ収集を得意とするSIEMとの違い

SIEM(Security Information and Event Management)は、ネットワーク機器やサーバーなど多種多様なITシステムからログを収集・一元管理し、それらを横断的に分析するツールです。SIEMとUEBAの最も大きな違いは、分析のアプローチにあります。

SIEMは既知の攻撃パターン(シグネチャ)に基づいて脅威を検知することを得意としますが、未知の脅威や内部不正の兆候を捉えるのは困難な場合があります。一方、UEBAはSIEMが収集したログなどを活用し、「振る舞い」に焦点を当てることで未知の脅威を発見可能です。

関連記事

外部の脅威検知に特化したEDRとの違い

EDRは端末(エンドポイント)にエージェントを導入し、外部からのサイバー攻撃やマルウェア感染などの挙動を監視するソリューションです。
UEBAとEDRの違いは、防御のアプローチと対象範囲にあります。

EDRが外部から侵入した脅威の検出に優れているのに対し、UEBAは内部不正や未知の脅威を可視化することに長けています。両者は役割が異なるため、どちらか一方だけで安全を確保できるものではありません。
それぞれの強みを活かして組み合わせて導入することで、より強固な体制を構築できます。

関連記事

UEBA導入で実現できる5つのセキュリティ対策

ss1-vulnerability-3.png

UEBAは、平常時の振る舞いからの逸脱を検知するアプローチにより、従来のセキュリティ対策では見過ごされがちだったさまざまな脅威に対応できます。特に、正当な認証情報を悪用する攻撃や、内部関係者による不正行為の発見にその真価を発揮するのが特徴です。

ここでは、UEBAを導入することで実現可能となる代表的な5つのセキュリティ対策について具体的に解説します。

内部関係者による不正行為の早期発見

UEBAは、従業員や業務委託先の担当者など、正規の権限を持つ内部関係者による不正行為の兆候を早期に発見できます。例えば、退職予定者が普段アクセスしない機密情報フォルダにアクセスしたり短時間で大量の顧客データを自身のPCにコピーしたりといった行動は、内部不正の典型的なパターンです。

UEBAはこうした通常業務から逸脱した振る舞いを検知し、情報漏洩を未然に防ぐための警告を発します。

外部からのアカウント乗っ取り被害の防止

フィッシング詐欺などで盗まれたIDとパスワードを用いて、攻撃者が正規の利用者になりすましてシステムに侵入する「アカウント乗っ取り」は深刻な脅威です。UEBAは、ログインしたユーザーの振る舞いを分析することで、アカウントが乗っ取られた可能性を検知します。

例えば、普段とは異なる国や時間帯からのログインやログイン後の不審なコマンド実行など、本人らしからぬ行動パターンを捉え、アカウントの不正利用による被害拡大を防ぎます。

関連記事

マルウェアに感染したデバイスの不審な挙動の特定

マルウェアに感染したPCやサーバーは、攻撃者の遠隔操作によって内部ネットワークのほかの機器への感染拡大(ラテラルムーブメント)や、外部のC2サーバーとの通信といった不審な挙動を開始します。これらの活動はユーザーが直接操作しているわけではないため、本人は気づきにくいものです。

UEBAは、デバイス(エンティティ)自体の振る舞いを監視することで、こうしたマルウェアによる異常な通信やプロセス実行を特定し、迅速な対応を可能にします。

関連記事

機密データや個人情報の不正な持ち出しの抑止

組織の重要資産である機密データや個人情報の保護は、セキュリティにおける最重要課題の一つです。UEBAは、重要なデータが保管されているサーバーやファイルへのアクセスパターンを監視し、不正な持ち出しにつながるリスクの高い行動を検知します。

権限のないユーザーからのアクセス試行や、一人のユーザーによる異常な量のデータダウンロードなどを捉えることで、情報漏洩インシデントの発生を抑止する効果が期待できます。

ゼロトラストを前提としたセキュリティの実現

近年はリモートワークの普及やクラウド利用の拡大により、社内ネットワークの内外を問わずすべてのアクセスを検証する「ゼロトラスト」の考え方が主流となっています。
UEBAは場所や環境に関係なく、すべての振る舞いを監視するため、ゼロトラストを前提としたセキュリティ環境の構築に貢献します。

従来の境界型防御では対応しきれなかった脅威に対しても、常に疑いの目をもってユーザーの行動を評価できるため、組織全体の安全性を大きく向上させることが可能です。

関連記事

UEBA導入を成功に導くための5つのポイント

2410_4.png

UEBAは強力なセキュリティソリューションですが、単に導入するだけで期待した効果が得られるわけではありません。導入前の時点で、以下のような点に注意する必要があります。

導入前に目的と要件を明確にしておく

UEBAを導入する際は、まず自組織のどのようなリスクに対処したいのか、どのデータを監視するのかといった目的と要件を詳細に定義する必要があります。

目的が曖昧なまま導入を進めると、適切なシステム基盤が準備できず、ツール本来のパフォーマンスを発揮できない可能性があります。
自組織の抱える課題を洗い出し、それに適したログデータを提供できる環境を整えておくことで、導入後の運用がスムーズに進みます。

既存のセキュリティ製品と連携させた運用を計画する

UEBAの分析精度は、インプットされるデータの質と量に大きく依存します。

そのため、SIEMやEDR/IT資産管理ツール(ログ管理ツール)/ID管理システム(IDM)/プロキシなど既存のセキュリティ製品が収集・記録しているログデータと連携させることが極めて重要です。導入前には、どの製品からどのようなデータをUEBAに取り込むのかを明確にし、システム間の連携方法を具体的に計画する必要があります。

これにより、より多角的な視点から精度の高い振る舞い分析が可能になります。

関連記事

IT資産管理ツールで取得したログをセキュリティソフトへ連携した事例

実際に、IT資産管理ツールで取得したログ情報を外部のセキュリティソフトへ連携・活用した事例があります。

新関西製鐵株式会社様では、通常時の動き(ベースライン)の把握に「SS1クラウド」で取得したログ情報を活用されたとのことです。詳細は下記の導入事例をご参照ください。

参考

分析対象となるユーザーのIDを統一する

複数のシステムを運用している場合、同一人物が異なるIDを使用しているケースが少なくありません。そのままではUEBAが別人の振る舞いとして認識してしまい、一貫した行動分析をおこなうことが困難になります。

正確な異常検知を実現するためには、事前に各システムのIDを統一しておくか、ログデータを正規化して紐付ける仕組みを整備しておくことが求められます。
正しいデータを学習させることで、精度の高い脅威の発見につながるのです。

分析結果を評価できる専門的な人材を確保する

UEBAは異常な振る舞いを検知してアラートを発しますが、そのアラートが本当にセキュリティ上の脅威なのか、あるいは業務上発生した例外的な行動なのかを最終的に判断するのは人間です。この判断には、セキュリティに関する深い知識と自組織の業務内容への理解が求められます。

したがって、アラートの内容を適切に評価し、対応を決定できる専門的な人材の確保や育成も必要です。社内での確保が難しい場合は、SOC(Security Operation Center)サービスを外部に委託することも有効な選択肢となります。

導入から運用までのトータルコストを事前に把握する

UEBA導入のコストを検討する際は、製品のライセンス費用や初期構築費用だけでなく、運用にかかる費用も含めたトータルコスト(TCO)で評価することが重要です。具体的には、既存システムとの連携にかかる改修費用、分析やインシデント対応をおこなう担当者の人件費、あるいはSOCサービスを利用する場合の月額費用などです。

これらの費用を事前に洗い出し、予算計画に組み込むことで導入後の安定した運用を実現できます。

UEBAに関するよくある質問

trend-windows-av-software_05.webp

ここでは、UEBAの導入を検討する際に多くの担当者が抱く疑問について簡潔に回答します。

UEBAを導入すればほかのセキュリティ対策ツールは不要になりますか?

いいえ、不要にはなりません。UEBAは振る舞い検知に特化しており、ウイルス対策ツールやファイアウォールといったほかのセキュリティ対策とは役割が異なります。

それぞれの対策が持つ防御機能を組み合わせる「多層防御」の一環としてUEBAを導入することで、全体のセキュリティレベルを向上させることが可能です。

UEBAはどのような組織に特に推奨されますか?

内部不正や情報漏洩のリスクが高い組織、またリモートワークを推進している組織に特に推奨されます。具体的には、重要な知的財産や顧客情報を扱う製造業、金融機関、医療機関などです。

従業員の行動や社内外からのアクセスを監視するUEBAの強みを最大限に活かせます。

UEBA製品を選ぶ際に最も重要な比較ポイントは何ですか?

分析精度、既存システムとの連携性、運用負荷の3点が重要です。「誤検知が少ないか」「自組織のSIEMやEDR製品と容易に連携できるか」「アラート分析を自組織でおこなえるか」などを確認しましょう。

まとめ

trend-financial_security_6.png

UEBAは、ユーザーとエンティティの振る舞いを機械学習で分析し、平常時から逸脱した行動を検知するセキュリティソリューションです。この仕組みにより、従来の対策では発見が難しかった内部不正やアカウント乗っ取りといった未知の脅威に対応できます。

1つの単独ソリューションとしてではなく、SIEMやEDRなど既存のセキュリティ製品と連携させることでその効果を最大化し、より強固なセキュリティ体制の構築が可能です。

内部リスクの可視化ならログ分析サービス「SS1 Risk Analyzer」

本記事で解説した「振る舞いからの異常検知」を自組織のセキュリティ対策に取り入れたいとお考えの方には、IT資産管理ツール「SS1」の連携ソリューションである「SS1 Risk Analyzer」がおすすめです。

「SS1 Risk Analyzer」は、SS1とエルテス社が提供するリスク解析ソリューション「Internal Risk Intelligence」を連携させたログ分析サービスです。SS1で収集した詳細な操作ログを独自の分析システムに取り込み、さらに専門アナリストによる再分析をおこなうことで、単なるログの記録だけでは発見できない「人」に潜むリスクを検知します。

不審な操作ログを行動パターンから解析するため、「退職時の情報持ち出し」や「権限を持たない社員による機密文書の探索・不正コピー」といった情報漏洩の兆候を早期に捉えられます。また、セキュリティリスクだけでなく「勤務時間外労働の増加」といった社員のメンタルヘルスの異常を未然に察知することも可能です。

SS1 Risk Analyzerの詳細については、以下の紹介ページをご覧ください。

参考

また、実際に本サービスをご活用いただいているアンファー株式会社様では、SS1で取得したログをもとに潜在リスクのレポート化を実施されています。詳細は下記の導入事例をご参照ください。

ss1_d_angfa1.webp

関連記事
あわせて読みたい
著者プロフィール
SS1LAB編集部
IT資産管理ツールSS1/SS1クラウドを開発・販売している、株式会社ディー・オー・エスの営業企画部メンバーで構成されています。IT資産管理・ログ管理・情報セキュリティ対策など、情シス業務の効率化に役立つ最新トレンド情報を随時発信中!