WAFとは?仕組みやファイアウォール・IPS/IDSとの違いを解説

本記事では、WAFの基本的な仕組み、ファイアウォールやIPS/IDSとの違い、導入時に押さえるべきポイントを整理します。WebサイトやWebアプリのセキュリティ強化を検討しているご担当者様はぜひお読みください。
・WAFがサイバー攻撃を防ぐ主な検知方式
・WAF・ファイアウォール・IPS/IDSの違い|防御できる範囲を比較
・WAFで防御できる代表的なサイバー攻撃の種類
・WAFの導入形態は3種類|それぞれの特徴と選び方を解説
・自組織に合うWAFを選ぶための比較ポイント5つ
・WAFに関するよくある質問
・まとめ
・セキュリティ運用を強化するなら、IT資産管理ツールSS1/SS1クラウド
WAFとは?|必要性や導入メリットの解説

WAF(Web Application Firewall)は、Webアプリケーションの脆弱性を突いた攻撃からサービスを守るためのセキュリティ対策です。
WebサイトやECサイトなど、インターネットに公開されたサーバーは常に攻撃の対象となり得るため、機密情報や顧客情報を保護する仕組みが欠かせません。
WAFが必要とされる背景
ITの進歩が著しい近年、組織のWebサイトはビジネスの中核となり顧客情報や決済情報など重要なデータを扱う機会が増加しています。
それに伴い、Webアプリケーションの脆弱性を標的としたサイバー攻撃は巧妙化かつ増加の一途をたどっています。従来のセキュリティ対策だけでは防ぎきれない新たな脅威が次々と出現しており、2026年以降もこの傾向は続く見込みです。
このような背景から、Webアプリケーション層を専門的に保護する目的でWAFの必要性が高まっています。
WAF導入のメリット
WAFを導入する最大のメリットは、Webアプリケーションの脆弱性を悪用する攻撃を未然に防ぎ、情報漏洩やWebサイト改ざんといった深刻な被害を回避できる点にあります。
WAFによって、後述する「SQLインジェクション」や「クロスサイトスクリプティング(XSS)」などの攻撃を検知・遮断することで、顧客からの信頼維持やビジネス継続にもつながるでしょう。
また、脆弱性の修正には時間とコストがかかりますが、WAは脆弱性の修正が完了するまでの暫定的なセキュリティ対策としても機能するため、迅速なリスク対応を可能にします。
WAFがサイバー攻撃を防ぐ主な検知方式

WAFがサイバー攻撃を検知・防御する仕組みには、主に「ブラックリスト方式」と「ホワイトリスト方式」の2つが存在します。どちらの方式を採用するか、あるいは併用するかによって、WAFの防御精度や運用方法が異なるため、その仕組みを理解することが重要です。
【ブラックリスト方式】既知の攻撃パターンを検出する仕組み
ブラックリスト方式は、「シグネチャ」と呼ばれる既知の攻撃パターンをまとめた定義ファイルに基づき、不正な通信を検知・遮断する仕組みです。
例えば、特定の攻撃元IPアドレスからのアクセスや、「SQLインジェクション」でよく使われる特徴的な文字列などをルールとして登録しておきます。
通信内容がこのリストに合致した場合に攻撃と判断するため、既知の攻撃に対して迅速かつ効果的に対応できる点がメリットです。
攻撃パターン定義ファイル「シグネチャ」の重要性とルール管理
ブラックリスト方式では、シグネチャの品質と鮮度がWAFの防御性能を大きく左右します。最新の手法を攻撃として検出するためには、この定義ファイルを常に最新の状態に保つルール管理が不可欠です。
一方で、防御のルールが厳しすぎると正常なプログラムも攻撃とみなす誤検知が発生し、サービスに支障をきたす場合があります。
そのため、自組織のWebアプリケーションの挙動にあわせてルールを最適化するチューニングをおこない、安全な通信と不正な攻撃を正確に見極められる体制を整えておきましょう。
【ホワイトリスト方式】許可された通信のみを通す仕組み
ホワイトリスト方式は、あらかじめ「安全」と定義した通信パターンをリスト化し、そのリストに合致する通信のみを許可する仕組みです。ブラックリスト方式とは対照的に、許可されていない通信はすべて拒否されるため、未知の攻撃に対しても高い防御効果が期待できます。
正常な通信パターンが明確に定義できるシステムに適していますが、許可する通信の定義が複雑であったり仕様変更が頻繁に発生したりするWebアプリケーションでは、設定やメンテナンスの運用負荷が高くなる可能性があります。
WAF・ファイアウォール・IPS/IDSの違い|防御できる範囲を比較

WAF・ファイアウォール・IPS/IDSは、それぞれ防御を担う範囲が異なります。
ファイアウォールは、ネットワーク層を中心にIPアドレスやポート番号などに基づいて通信の許可・拒否を制御する仕組みです。メール通信やファイル転送を含むネットワーク全体の入口で、不正な通信を遮断する役割を担います。
一方、IPS/IDSはネットワーク上の通信を監視し、既知の攻撃パターンなど不審な通信を検知します。IPSは必要に応じて遮断までおこない、IDSは検知・通知を中心に運用されるのが一般的でしょう。
これらに対しWAFは、HTTP/HTTPSを中心としたWebアプリケーション向けの防御に特化した対策となります。WAFだけですべての脅威を防ぎ切るのは難しいため、他のセキュリティ対策と組み合わせた多層防御が推奨されます。
それぞれの役割と防御範囲を整理し、組織の環境にあわせて使い分けることが重要です。
| WAF | ファイアウォール | IPS / IDS | |
|---|---|---|---|
| 主な防御対象 | Webアプリケーション | ネットワーク全体 | ネットワーク通信 |
| 防御できる層 | アプリケーション層 | ネットワーク層 | ネットワーク層~アプリケーション層 |
| 主な役割 | Webアプリの脆弱性対策 | 不正な通信の遮断 | 不正通信の検知・防御 |
| 防御できる攻撃例 | ・Webアプリの脆弱性対策・クロスサイトスクリプティング(XSS)・OSコマンドインジェクション | ・不正IPからのアクセス・不要なポート通信/許可されていない通信 | ・DoS/DDoS攻撃・マルウェアの拡散/侵入 |
WAFで防御できる代表的なサイバー攻撃の種類

WAFは、WebアプリケーションへのHTTP/HTTPS通信を解析し、従来のファイアウォールだけでは防御が難しい巧妙な攻撃を遮断します。ここでは、WAFで防御できる代表的な攻撃例を5つ解説します。
SQLインジェクション
SQLインジェクションは、Webアプリケーションが想定していない不正なSQL文を意図的に実行させ、データベースを不正に操作する攻撃です。
例えば、ログインフォームの入力欄にSQL文の断片を送り込むことで、認証を回避したり、データベース内の個人情報や機密情報を窃取したりします。アプリケーションの実装言語(例:PHP,Java,Rustなど)に関わらず、データベースと連携するWebアプリケーション全般が標的となり得ます。
クロスサイトスクリプティング(XSS)
クロスサイトスクリプティング(XSS)は、攻撃者がWebサイトの脆弱性を利用して悪意のあるスクリプトを埋め込み、サイトを訪れた他のユーザーのブラウザ上で実行させる攻撃です。
これにより、ユーザーのCookie情報が盗まれセッションハイジャックにつながったり、偽の入力フォームを表示させて個人情報を詐取されたりする被害が発生します。
DDoS攻撃
DDoS攻撃は、複数のコンピューターから標的のWebサーバーに対して大量のアクセス要求を送りつけ、サーバーやネットワークのリソースを枯渇させることでサービスを停止に追い込む攻撃です。
アプリケーションの特定の機能を狙った「アプリケーション層DDoS攻撃」は、従来のネットワーク型セキュリティ対策だけでは攻撃をブロックすることが困難となります。
大規模なDDoS攻撃への対策としては、CDNや専用のDDoS防御サービスとも組み合わせた構成が一般的です。
ブルートフォース攻撃
ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)は、特定のIDに対してパスワードを考えられるすべての組み合わせを機械的に試行し、不正ログインを試みる攻撃です。ログイン機能を持つWebサイトが標的となりやすく、成功するとアカウント乗っ取りや情報漏洩につながる危険性があります。
OSコマンドインジェクション
OSコマンドインジェクションは、Webアプリケーションの入力フォームなどを通じて、不正なOSコマンドをWebサーバーに送信し、実行させる攻撃です。
この攻撃が成功すると、攻撃者はサーバー内で任意のコマンドを実行できるようになり、ファイルシステムの閲覧や改ざん、不正なプログラムのインストール、さらにはサーバーの完全な乗っ取りに至る可能性があります。
WAFの導入形態は3種類|それぞれの特徴と選び方を解説

WAFを導入する際には、自組織のシステム構成や運用体制、予算にあわせて最適な導入形態を選択する必要があります。
WAF製品の主な種類は「クラウド型」「アプライアンス型」「ソフトウェア型」の3つです。それぞれの特徴、メリット・デメリットを理解し、どの構成が自組織に適しているかを比較検討することが、WAF導入を成功させるための鍵となります。
【クラウド型】主流のWAF|低コストで導入・運用が容易
クラウド型WAFは、サービス提供事業者がクラウド上で提供するWAF機能を利用する形態です。現在、最も主流の導入形態であり、高いシェアを誇ります。
自組織で機器やソフトウェアを保有する必要がなく、DNSの設定を変更するだけで手軽に導入できる点が最大のメリットです。
初期費用をおさえられ、月額料金で利用できるサービスが多く、専門家による運用・保守がサービスに含まれるため、運用負荷を大幅に軽減できます。特に中小規模の組織や、専任のセキュリティ担当者がいない場合に適しています。
【アプライアンス型】大規模向け|自組織環境に設置するハードウェア
アプライアンス型WAFは、専用のハードウェア機器をオンプレミス環境に設置する形態です。
自組織のネットワーク内に直接設置するため、通信経路を細かく制御でき、大量のトラフィックを高速に処理できるという特徴があります。したがって、大規模なシステムや高いパフォーマンスが要求されるオンプレ環境に適しています。
ただし、導入コストや維持費用が高額になる傾向があり、機器の設置スペースやシグネチャの更新、障害対応といった運用・保守を自組織でおこなう必要がある点がデメリットといえるでしょう。
【ソフトウェア型】既存サーバーに導入|柔軟なカスタマイズが可能
ソフトウェア型WAF(ホスト型WAF)は、保護対象のWebサーバーに直接ソフトウェアをインストールして利用する形態を指します。
既存のサーバーリソースを活用できるため、ハードウェアの追加購入が不要です。サーバーOSやミドルウェア(Webサーバーなど)と緊密に連携でき、柔軟なカスタマイズが可能です。
オープンソースのソフトウェアも存在し、低コストで導入できる場合がありますが、インストールや設定、運用をすべて自分たちでおこなう必要があり、高度な専門知識が求められます。
自組織に合うWAFを選ぶための比較ポイント5つ

自組織に最適なWAF製品を選定するためには、複数の重要な比較ポイントがあります。組織内のセキュリティ要件やシステム環境を整理し、導入後の運用まで見据えた設計をおこなうために、比較ポイントを確認しておきましょう。
ポイント1:導入形態は自組織の環境に合っているか
まず、自組織のWebサイトがクラウド上にあるのか、オンプレミスのデータセンターで運用されているのか、といったシステム環境を確認します。AWS(Amazon Web Services)やAzure(Microsoft Azure)などのクラウドサービスを利用している場合は、クラウド型WAFとの親和性が高く導入もスムーズです。
一方、データセンターで大規模なシステムを運用している場合などは、アプライアンス型が適していることもあります。
ポイント2:必要な防御機能は備わっているか
WAF製品によって、防御できる攻撃の種類や検知精度、付帯する機能に違いがあります。
組織として保護したいWebアプリケーションの特性を分析し、どのような脅威から守る必要があるかを明確にしましょう。例えば、DDoS攻撃対策機能、ログイン画面へのブルートフォースアタック対策機能など、必要なセキュリティ機能が備わっているかを確認します。
WAF製品ごとの機能を比較し、要件を満たす製品を選ぶことが大切です。
ポイント3:導入・運用にかかる費用は予算内か
WAFの費用は、初期導入コストと月額または年額の運用料金から構成されます。
クラウド型は初期費用が安く月額料金制が多い一方で、アプライアンス型は機器購入の初期コストが高額になります。
製品の価格だけでなく、管理コンソールの操作性やシグネチャ更新の工数、サポートにかかるコストなども確認し、トータルで比較検討することが重要です。
一部無料プランやオープンソースのWAFもありますが、サポート範囲や機能が限定されるケースもあるため自組織の運用体制で対応可能か慎重に判断する必要があります。
ポイント4:専門家によるサポート体制は十分か
WAFの運用では、新たな脅威への対応や誤検知発生時のチューニングなど、専門的な知識が必要となる場面があります。
特に自組織にセキュリティ専門家がいない場合、ベンダーのサポート体制は必須要件です。24時間365日の監視・運用サポートがあるか、問い合わせは日本語で対応可能か、国内にサポート拠点があるかなどを確認しましょう。
インシデント発生時に迅速かつ適切な支援を受けられるかどうかは、製品選定における大切な評価項目のひとつです。
ポイント5:Webシステムのパフォーマンスに影響はないか
WAFはすべての通信を検査するため、導入することでWebサイトの応答速度に遅延(レイテンシ)が生じる可能性があります。
特に高いパフォーマンスが求められるWebサイトの場合、この遅延がユーザー体験を損なう問題になりかねません。導入前に、WAFを経由した場合のパフォーマンスへの影響についてベンダーに確認し、可能であればトライアルなどを利用して検証することが推奨されます。
また、WAF自体の可用性も重要であり、万が一WAFに障害が発生した場合でもWebサイトのサービスが停止しない構成になっているかを確認する必要があります。
WAFに関するよくある質問

ここでは、WAFについてよく寄せられる質問とその回答をまとめます。
導入検討や運用において生じる疑問の解消にお役立てください。
Q. WAFSとWAFの違いは何ですか?
WAFS(ワフス)はWAN高速化装置を指し、WebセキュリティのWAF(ワフ)とは全く別の製品です。
また、近年WAFの進化形としてWAAP(ワープ)という用語も登場しています。これはWAF機能に加え、API保護やBOT対策、DDoS防御を統合したソリューションを意味します。
読み方が似ているため混同しないよう注意が必要です。
Q. WAFを導入すれば他のセキュリティ対策ツールやサービスは不要ですか?
不要ではありません。WAFはWebアプリケーション層の防御に特化しているため、他の層を守るセキュリティ対策との併用が不可欠です。
ネットワークセキュリティのためのファイアウォールや、サーバー・PCをマルウェアから守るアンチウイルスソフトなど、多層的な防御をおこなうことが推奨されます。
Q. WAF導入後の運用で気をつけるべき点はありますか?
定期的なログの確認とチューニングが重要です。正常な通信を誤って遮断していないか(誤検知)、新たな攻撃を検知しているかを確認します。
検知時の通知設定を適切におこない、CPU使用率などのメトリクスを監視してパフォーマンスへの影響も検証しましょう。
まとめ

WAFは、Webアプリケーションをサイバー攻撃から保護するためのセキュリティ対策です。
ファイアウォールやIPS/IDSとは防御層が異なり、SQLインジェクションやXSSといった攻撃に特化して対応します。導入形態にはクラウド型、アプライアンス型、ソフトウェア型があるため、自組織の環境や要件に応じて適切なものを選定しましょう。
導入後も定期的にチューニングを実施し、自組織に最適なセキュリティを構築することが求められます。
セキュリティ運用を強化するなら、IT資産管理ツールSS1/SS1クラウド

WAFはWebアプリケーションへの攻撃を抑止するうえで非常に有効ですが、セキュリティ効果を安定させるには脆弱性への迅速な対応や適切な設定変更、さらには土台となる端末やサーバーのOS更新管理まで一貫しておこなうことが重要です。
もし現状「管理対象の端末やサーバーを正確に把握しきれていない」あるいは「OSの更新状況が追えず対応の抜け漏れに不安を感じている」場合は、IT資産管理ツールSS1/SS1クラウドの活用がおすすめです。IT資産の状態を可視化し安全な運用基盤を整えることで、WAFによる防御とあわせた多層的なセキュリティ体制の構築を支援します。
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