IT資産管理ツール選定のきっかけ
長期的なメリットを見据えたツールの入れ替え検討
IT資産管理ツールの導入を検討した当時、当社にはVPN環境がなかったことから「インターネット経由での情報収集」機能を必須要件として掲げていた。選定時には親会社が利用していた「SS1」の名前も挙がっていたのだが、残念ながらその時点では当該機能が未実装だったため導入を断念。結局、別会社の製品を利用することになった。
しかしその後4-5年うちに、VPN網を構築したり、以前導入していた製品の営業担当が交代したりなど、当社の状況にもさまざまな変化が生じた。そのころには前製品の更改時期となっていたため、かねてから親会社よりSS1の良さを聞いていたこともあり、「もう一度IT資産管理ツールを見直したほうが長期的にみて利点が大きいのでは」と考えた末、ツールのリプレース検討を開始した。
SS1に決めた理由
必要な機能だけを選択できる柔軟な価格体系
選定にあたりいくつかの競合製品とSS1を比較したが、ほしい機能をピンポイントで選択できるSS1の価格体系は魅力的だった。
他社製品の場合、ほしい機能を購入しようとすると不要な機能までついてきてしまい、最終的な価格が割高になってしまう。
SS1であれば、やりたい運用に対して必要な機能だけを選べるため、最終的な導入費用を大きく抑えることができた。
「コツコツくるがグイグイこない」 メーカーとしての姿勢に好印象
ディー・オー・エス担当の営業やサポート対応など、メーカーとしての姿勢に対しても好感を持っていた。たとえば一部の企業では、見込み顧客に対する営業活動がシステマチックであるが、ディー・オー・エスの営業担当からはまったくそういった印象を受けなかった。導入を急かすわけではなく、トライアル利用時のフォローアップなどコンスタントに必要な分だけの連絡をコツコツと続けてくれたのだ。
基本的に各社のIT資産管理ツールには機能面で大きな差はないと考えているからこそ、こうした営業担当者の人となりや姿勢などは非常に重要な要素の一つだった。前述の件とあわせて、SS1に製品としての優位性・企業としての真摯な姿勢を感じ取ったため、最終的に導入を決定した。
導入効果
社内外問わず、インベントリやログ情報の収集が可能に
端末の情報について、基本的にはVPN経由で情報を収集しているが、外出用である50台程度の端末に関してはインターネット経由で各種情報を取得している。
またMDMツールであるmobiconnectと連携することで、会社全体で保有しているPC・スマホ・タブレットといったIT資産の総数をSS1上で把握できるようにもなった。
セキュリティ対策や労務管理に、各種ログを活用中
現在、当社では複数のログ情報を取得することで万一のインシデントに備えている。また、ログを取得していることをあえて従業員に告知することで、不正行為への抑止力としても活用中だ。
ほかにも、勤怠データや社屋への入退室データから長時間残業の常態化が疑われる従業員を発見した際、より詳細な実態把握をおこなうためにSS1「ログレポート」上で細かな作業履歴を確認するといった運用もおこなっている。
このように、SS1で取得した各ログ情報をさまざまな場面で利用することで、健全かつセキュアな組織運営に貢献できるようになった。
SS1で取得したBitLocker「回復キー」情報で、大規模インシデントにいち早く対応
あるとき、当社が利用しているウイルス対策ソフトの不具合によって大規模なシステム障害が発生したことがあった。200台以上のPCでBitLockerの暗号化が適用されてしまい、端末の復旧に「回復キー」が要求される事態に直面したのだ。
通常であれば端末一台一台に対しそれぞれの「回復キー」を確認する必要があるところ、当社はSS1の機能によって「回復キー」情報を自動で収集/管理していたため、スムーズに復旧作業を進めることができた。
もしあのまま「回復キー」の確認に時間をかけていたら、対応の遅れによってより深刻な問題に発展してしまっていただろう。
SS1による情報の一元管理がおこなえていたからこそ、大きなトラブルにつながらず済んだと思っている。
デバイスマネージャ情報を参照し、Windows 11アップデート要件を満たす端末を抽出
SS1で取得している細かい情報は、他の場面でも役立っている。たとえば、Windows 10から11へのアップデートを検討するにあたって、アップデート要件を満たす端末を抽出するために「TPM 2.0」の搭載状況を確認する必要があった。
SS1は自動収集項目の中に、各端末の「デバイスマネージャ情報」も含んでいる。当時はそこから「TPM 2.0」の搭載状況を把握することで、システム要件を満たす端末・満たさない端末をSS1上で選別し、アップデート作業の効率化につなげられた。
(管理画面上で、端末のデバイスマネージャ情報を閲覧可能)
今後の展望
SS1を活用した、さらなるセキュリティ強化をめざして
現在、SS1を利用した各運用は、「現状の把握」とそれに伴う「必要な対応」に終始している。これからはさらに一歩深めて、「適切な制限措置」をおこなっていけたらと検討中だ。
具体的には、USBメモリやSDカードといった外部記憶媒体の利用制限などを考えている。なるべく従業員の業務に支障がない範囲で、どのような制限をおこなうべきかはこれから検討する必要があるが、SS1に搭載されている各機能を駆使して、無理のない利用制限施策を実現していきたい。