システム管理とは?仕事内容から必要なスキル・資格まで解説

システム管理とは、組織内のITシステムが常に最適な状態で動作し続けるよう、維持・改善を図る業務のことです。具体的には、サーバーやネットワークなどのインフラ整備から、PC端末の管理、セキュリティ対策まで、その仕事内容は非常に多岐にわたります。
主な業務内容は、システムの安定稼働を支えるシステムの管理だけでなく、障害発生時の復旧対応や、IT資産の調達、ユーザーからの問い合わせ対応など多角的な役割を担います。単にシステムを管理するだけでなく、ITの力で業務の効率化を推進し、社内の従業員やその先にいる顧客が安全かつ快適にサービスを利用できる環境を構築することが、この仕事の大きな目的です。
ITが事業基盤となった現代において、組織の信頼性を支える極めて重要な業務といえます。
・システム管理者の具体的な業務内容7選
・システム管理者に必須のスキルセット
・システム管理のキャリアに役立つおすすめIT資格6選
・システム管理の業務負担を軽減する効率化のポイント
・システム管理に関するよくある質問
・まとめ
システム管理の基本|その目的と社内SEとの役割の違い

組織によっては、総務部などの部署がシステム管理の業務を兼任することもありますが、情報システム部門として独立しているのが一般的です。
一方で、社内SE(システムエンジニア)という職種もあり、システム管理と業務内容が重なる部分もありますが、その役割には違いが存在します。
会社全体のIT戦略に関わるか、既存システムの維持管理に重点を置くかなど、組織内での位置づけが異なります。
システム管理が担うITインフラの安定稼働という目的
システム管理の最も重要な目的は、組織の活動基盤であるITインフラを安定的かつ安全に稼働させ続けることです。
サーバーやネットワーク、業務システムなどが停止すると、事業そのものに大きな影響を及ぼしかねません。そのため、日々の監視やメンテナンス、障害発生時の迅速な復旧といったシステム運用業務は、システム管理の中核をなす業務といえます。
従業員がいつでも安心してITシステムを利用できる環境を維持することが、システム管理者に課せられた使命です。
社内SEの業務範囲との明確な違い
システム管理者は、主に既存システムの維持・運用・保守を担うのに対し、社内SEはそれに加えて、より広範な業務を手がけることが一般的です。
例えば、経営課題を解決するための新しいシステムの企画・開発や、業務効率化のためのIT戦略立案などが挙げられます。社内SEはシステム開発のような非定型的な業務も担う点で、運用保守を中心とするシステム管理者とは役割が異なります。
ただし、組織規模によっては一人の担当者が両方の役割を兼務するケースも少なくありません。
システム管理者の具体的な業務内容7選

システム管理者の業務は、組織のIT環境全体に及びます。サーバーやネットワークといったインフラの管理から、従業員一人ひとりが使うPCの管理、さらには社内からの問い合わせ対応まで、その内容は多岐にわたります。
ここでは、システム管理者の一般的な業務内容について具体的に解説します。
サーバー・ネットワークの構築と運用保守
組織の業務システムの基盤となるサーバーや社内ネットワークの設計、構築、そして安定稼働を維持するための運用・保守をおこないます。
具体的には、サーバーOSのインストールや設定、リソース監視、オフィス内のネットワーク機器の管理などが含まれます。近年では物理的な設備だけでなく、クラウドサービスの利用も増えており、それらの管理も業務内容に含まれます。
ハードウェアの老朽化によるリプレース計画の策定や、トラブル発生時の対応も担当します。
IT資産(PC・ソフトウェア)の調達と管理
従業員が業務で使用するPCやスマートフォンなどの端末、ソフトウェアといったIT資産を管理します。
社員の入社や部署異動に合わせて必要な機器を選定し、見積もりを取得して調達、初期設定をおこなって貸与します。また、ソフトウェアのライセンスが規約通りに使用されているかを管理することも業務の一つです。
使用されなくなった物の廃棄やリース返却まで、費用を意識しながら資産のライフサイクル全般に責任をもちます。
セキュリティポリシーの策定とインシデント対応
組織の機密情報や個人情報をサイバー攻撃の脅威から守るため、情報セキュリティに関する社内ルールを定めます。このセキュリティポリシーという基準に基づき、ウイルス対策ソフトの導入やアクセスログの監視、脆弱性情報の収集と対策などを実行します。
万が一、不正アクセスや情報漏洩といったインシデントが発生した際には、被害の拡大を防ぎ、原因を特定して復旧させ、再発防止策を講じるまでの一連の対応が求められます。
アカウント発行・権限設定などのユーザー管理
従業員の入社、異動、退職などに合わせて、社内システムやクラウドサービスを利用するためのアカウント管理をおこないます。
新しい従業員にはアカウントを発行し、業務上必要な情報システムへのアクセス権限を付与します。一方で、退職者や異動によって不要になったアカウントは、情報漏洩のリスクを避けるために速やかに削除または停止しなければなりません。
役職や部署に応じて、閲覧・編集できるデータの範囲を適切に設定する権限管理も欠かせない責務です。
社内向けヘルプデスクとしての問い合わせ対応や社員教育
「PCが起動しない」「システムにログインできない」といった、社内からのITに関するあらゆる問い合わせに対応するヘルプデスク業務も担当します。問題の原因を切り分け、解決策を提示したり、必要に応じて遠隔操作で対応したりします。
また、新しいサービスやツールを導入する際には、利用方法を解説するマニュアルを作成し、説明会を実施するなど、社員向けの教育をおこなうこともあります。利用者がスムーズに業務をおこなえるよう、定められた手順に沿ってサポートします。
システム障害発生時の原因究明と復旧作業
サーバーダウンやネットワークの不通など、業務に支障をきたすシステム障害が発生した場合、迅速な対応が求められます。
まずは状況を正確に把握し、影響範囲を特定したうえで、あらかじめ定められた復旧スケジュールに沿って作業を進めます。
システムを正常な状態に戻すだけでなく、なぜ障害が発生したのか原因を徹底的に究明し、根本的な解決策や再発防止策を立案・実行することも重要な役割です。関係各所への報告や調整も並行しておこないます。
定期的なバックアップの実行とデータ管理
組織の大切な業務データは、機器の故障や操作ミス、あるいはサイバー攻撃や自然災害など、さまざまなリスクに晒されています。こうした万が一の事態が発生しても事業を継続できるよう、定期的にデータのバックアップを取得し、管理することもシステム管理の責務の一つです。
バックアップデータからの復旧手順を確立し、定期的にテストをおこなうことで、有事の際に迅速かつ確実にデータをもとに戻せる体制を整えておく必要があります。
システム管理者に必須のスキルセット

システム管理の仕事は、幅広いIT知識を要求される専門職です。サーバーやネットワークといったインフラ技術はもちろん、セキュリティに関する深い知見も必要です。
しかし、優れたエンジニアであるだけでは務まりません。社内外の多くの人と関わるため、円滑なコミュニケーション能力や問題解決能力といったヒューマンスキルも同様に重要視されるスキルです。
インフラ全般に関する幅広い技術知識
システム管理者は、特定の分野だけでなく、ITインフラ全般にわたる広範な知識をもつ必要があります。サーバーのOS(Windows、Linuxなど)、ネットワーク機器(ルーター、 スイッチなど)、データベース、仮想化技術、そして近年ではAWSやAzureといったクラウドサービスに関する知識は必須です。
これらの技術がどのように連携してシステム全体が動いているのかを理解し、トラブルシューティングできる能力が求められます。
情報セキュリティ対策を講じるための専門知識
組織の情報を守る最後の砦として、情報セキュリティに関する専門知識は必須です。ファイアウォールやIDS/IPSといったセキュリティ製品の知識に加え、サイバー攻撃の最新動向や脆弱性情報にも常にアンテナを張っておく必要があります。
また、インシデント発生時に適切な対応をおこなうための知識や、従業員のセキュリティ意識を高めるための教育手法についても理解しておかなければなりません。
円滑なコミュニケーションを実現する対話力
システム管理者は、ITに詳しくない従業員からの問い合わせに、専門用語を避けて分かりやすく説明する能力が求められます。また、新しいシステムを導入する際には、経営層にその必要性や費用対効果を説明したり、外部のベンダーと要件定義や価格交渉をおこなったりする場面も少なくありません。
相手の立場や知識レベルに合わせて、的確なコミュニケーションを取る対話力は欠かせないスキルです。
システムトラブルを解決に導く問題解決能力
システム障害は予期せぬタイミングで発生します。そのような状況でも冷静に事象を観察し、ログなどの情報から原因を論理的に推測して切り分ける分析力が必要です。
そして、特定した原因に対して、暫定的な対処や恒久的な対策といった複数の選択肢のなかから、最も効果的でリスクの少ない解決策を判断し、実行に移す能力が求められます。過去のトラブル事例から学び、再発防止につなげる姿勢も大切です。
システム管理のキャリアに役立つおすすめIT資格6選

システム管理者に必須の公的資格はありませんが、自身のスキルレベルを客観的に証明し、キャリアアップを目指すうえで資格取得は有効な手段です。特に、経済産業省が管轄する独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する国家資格は、IT業界で広く認知されており、知識の体系的な習得にもつながります。
ここでは、システム管理のキャリア形成に役立つ代表的なIT資格を6つ紹介します。
【レベル1】ITパスポート:ITの基礎知識を証明する第一歩
ITパスポートは、ITを利用するすべての社会人が備えておくべき、ITに関する基礎的な知識を証明する国家資格です。情報セキュリティやネットワーク、経営戦略といった幅広い分野から出題され、ITの全体像を体系的に学べます。
未経験からシステム管理を目指す人にとっては、IT業界への入門として最適な資格であり、基礎知識を有していることのアピールになります。
【レベル2】基本情報技術者試験:ITエンジニアの登竜門
基本情報技術者試験は、ITエンジニアとしてのキャリアをスタートするための登竜門と位置づけられる国家資格です。プログラミングの基礎となるアルゴリズムや、情報セキュリティ、ネットワーク、データベースといった、システム開発・運用に必要不可欠な知識が問われます。
この資格を取得することで、ITエンジニアとして活躍するための土台となる知識・技能をバランスよく習得していることを証明できます。
【レベル2】情報セキュリティマネジメント試験:情報セキュリティの専門家へ
情報セキュリティマネジメント試験は、情報セキュリティ管理の観点から、組織の情報を脅威から守るための基本的なスキルを認定する国家資格です。情報漏洩などのインシデントを未然に防ぐための計画立案、運用、評価、改善といった、マネジメントに関する知識が問われます。
セキュリティポリシーの策定やインシデント対応を担うシステム管理者にとって、専門性を高めるうえで非常に有用な資格です。
【レベル3】応用情報技術者試験:ワンランク上のスキルを証明
応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験の上位に位置づけられる国家資格で、より高度なIT人材を目指すための試験です。技術的な知識に加え、管理や経営といった視点から、IT戦略の立案やシステムの企画・要件定義ができる能力が問われます。
この資格を取得することで、現場のリーダーとして活躍できるワンランク上のエンジニアであることを証明でき、キャリアの選択肢が大きく広がります。
【レベル4】情報処理安全確保支援士試験:高度な知識が要求される最難関レベルの資格
情報処理安全確保支援士試験は、サイバーセキュリティに関する極めて高度な知識と技能を証明する国家資格です。情報処理技術者試験のなかでもスキルレベル4に位置づけられる最難関の試験であり、合格後に登録手続きをおこなうことで、名称独占資格である「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」として活動できます。
この資格を保有することで、サイバー攻撃の脅威から組織を持続的に守るために、安全な情報システムの企画・設計から開発・運用までを主導できる専門家であると認められます。また、最新のセキュリティ対策に基づいた調査や分析をおこない、その結果を評価して適切な指導や助言ができる能力も証明されます。
日々巧妙化するサイバー攻撃への対応が急務となっている現代において、セキュリティのスペシャリストとしてキャリアを築く上で強力な武器となります。
【国際資格】ITILファンデーション:ITサービスマネジメントの世界標準
ITIL(Information Technology Infrastructure Library)は、ITサービスマネジメントにおける成功事例を体系的にまとめた国際的なフレームワークです。ITILファンデーションは、その最も基本的な知識を証明する認定資格であり、世界中の組織でIT運用の標準として採用されています。
障害管理や変更管理といった運用業務を標準化し、属人化を防いでサービスの品質を向上させるための知識が身につきます。
システム管理の業務負担を軽減する効率化のポイント

システム管理の業務は多岐にわたり、慢性的な人手不足から担当者の負担が大きくなりがちです。特に中小企業では「ひとり情シス」状態に陥ることも少なくありません。
こうした状況を改善し、より戦略的な業務に注力するためには、ITツールや外部サービスの活用も視野にいれるとよいでしょう。ここでは、日々の業務負担を軽減するための効率化のポイントとして、ツールの導入やアウトソーシングの活用について解説します。
IT資産管理ツールを導入して棚卸しを自動化する
社内にあるPCのスペックやインストールされているソフトウェア、ライセンスの契約状況などを手作業で管理するのは非常に手間がかかります。IT資産管理ツールを導入すれば、ネットワークに接続された端末情報を自動的に収集し、台帳を一元管理できます。
これにより、定期的な棚卸し作業が大幅に効率化されるだけでなく、ライセンス違反のリスクを低減したり、ハードウェアの更新計画を立てやすくなったりするメリットもあります。
定型業務をRPAで自動化し作業時間を短縮する
アカウントの新規発行やパスワードリセット、サーバーのログ監視といった、毎日・毎月決まった手順でおこなう定型業務は、RPA(Robotic Process Automation)ツールの活用によって自動化が可能です。これまで手作業でおこなっていた時間を大幅に短縮でき、担当者はより高度な判断が求められる業務に集中できます。
また、人的な操作ミスをなくし、作業品質を向上させる効果も期待できます。
専門業者へのアウトソーシング(外注)を検討する
すべての業務を自社で抱え込まず、一部を外部の専門業者へ委託するアウトソーシングも有効な選択肢です。例えば、24時間365日の対応が求められるサーバー監視や、日常的な問い合わせに対応するヘルプデスク業務などを外注することで、社内の担当者はコア業務に専念できます。
専門的な知見をもつ業者に任せることで、自社で対応するよりもサービスの質が向上する場合もあります。
システム管理に関するよくある質問

システム管理の仕事に関して、未経験からの転職や将来性など、キャリアに関する疑問をもつ人は少なくありません。ここでは、システム管理に関するよくある質問とその回答をまとめました。
未経験からシステム管理者に転職することは可能ですか?
はい、未経験からシステム管理者に転職することは可能です。IT業界は人手不足の傾向にあり、ポテンシャルを重視する未経験者歓迎の求人も少なくありません。
ITパスポートなどの資格を取得して基礎知識をアピールしたり、まずはヘルプデスクなど関連性の高い業務からキャリアをスタートさせたりするのが一般的なルートです。
システム管理者のキャリアパスや将来性を教えてください。
システム管理者のキャリアパスは多様で、将来性も高い職種です。インフラの経験を活かしてクラウドやセキュリティの専門性を高める、社内SEとしてシステム企画に携わる、ITコンサルタントとして独立するなどさまざまな道があります。
DX推進に伴い組織のIT活用は不可欠であり、その基盤を支える管理者の需要は安定しています。
業務が属人化する「ひとり情シス」の問題点は何ですか?
担当者が一人しかいない「ひとり情シス」の最大の問題点は、業務停止のリスクです。その担当者が急な病気や退職で不在になると、トラブル対応やシステム管理業務が完全に停止してしまいます。
また、業務がブラックボックス化し、セキュリティ対策が不十分になるなどの項目も問題として挙げられます。第三者によるチェック機能が働かないため、潜在的なリスクが高まります。
まとめ

システム管理は、企業のITインフラを安定させ、事業活動を根底から支える極めて重要な役割を担っています。その業務範囲は、ネットワークの構築からセキュリティ対策、ヘルプデスク業務まで多岐にわたります。
専門的な技術知識だけでなく、周囲と円滑に連携するためのコミュニケーション能力も欠かせません。また、日々の多忙な業務を効率化し、管理の精度を高めるためには、専用ツールの活用が推奨されます。
IT資産管理ツール「SS1」や「SS1クラウド」を導入すれば、組織内のIT資産状況をリアルタイムで正確に把握できます。運用の最適化やコスト削減を推進するためにも、ツールの導入をぜひ検討してみてください。
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