情報資産とは?具体例や定義、セキュリティを守る管理方法を解説

この記事では、情報資産について、その定義や具体例、なぜ管理が必要なのかという理由から具体的な管理方法や管理台帳の作成手順までをわかりやすく解説します。情報セキュリティ担当者や、これから対策をはじめる組織の管理者におすすめの記事です。
・情報資産の具体例
・なぜ情報資産の管理は重要なのか?放置する3つのリスク
・情報資産管理をはじめるための5つのステップ
・情報資産管理台帳に記載すべき必須項目とは?
・情報資産を守るツールの活用
・まとめ
そもそも情報資産とは?組織が守るべき価値ある情報のこと

情報資産とは、簡単に説明すると、組織の経営において資産価値を持つすべての情報とそれを記録する媒体のことです。IPA(情報処理推進機構)の定義に基づくと、PCやサーバー内のデータだけでなく、紙の書類やUSBメモリ、さらには従業員が持つノウハウまでが保護すべき対象に含まれます。
つまり、組織が守るべき価値のある情報全般が「情報資産」に該当します。これらを適切に管理し、不正アクセスや紛失から守ることは、組織の競争力を維持し、円滑な経営を継続するうえで不可欠な活動といえるでしょう。
組織内の情報を適切に保護するためには、まず自組織にどのような情報が存在し、それぞれにどのような資産価値があるのかを正しく定義して、把握することからはじまります。
情報資産の具体例

情報資産は、デジタルデータに限らず、非常に広範な対象を含みます。組織の資産を洗い出す際には、どのような種類の情報が存在するのか、その範囲を正しく理解しておくことが漏れを防ぐポイントです。
PCやサーバーに保存されている電子データ
PCやサーバー、クラウドサービス上に保存されている電子データは、情報資産の代表例です。
具体的には、顧客情報や財務データ、人事情報などが格納された業務システム、日々の業務でやり取りされるメール、そして公開情報としてウェブサイトに掲載されている情報も含まれます。
これらのデータはネットワークを通じてアクセスされるため、不正アクセスやサイバー攻撃からの保護が不可欠です。
契約書や企画書などの紙媒体
デジタル化が進む現代においても、契約書や申込書、組織内規程、会議の議事録といった紙媒体の書類は重要な情報資産です。これらの紙媒体は、施錠管理されたキャビネットで保管するなど、物理的なセキュリティ対策が求められます。
媒体が物理的なものであるため、紛失や盗難のリスクを考慮した管理が必要です。
USBメモリや外付けHDDなどの記憶媒体
情報を記録するための記憶媒体そのものも、情報資産の一つです。これには、PCやサーバーといったハードウェア本体、USBメモリ、外付けHDD、スマートフォンなどが該当します。
また、ルーターやスイッチなどのネットワーク機器や、それらを設置するデータセンターなどの設備も情報システムを構成する大切な要素であり、情報資産として扱われます。
独自開発したソフトウェアやライセンス
自組織で独自に開発した業務用ソフトウェアやアプリケーションまたはそのソースコードも、組織の競争力の源泉となる重要な知的財産です。また、市販されているソフトウェアを利用するためのライセンスも、情報資産として管理する必要があります。
これらのソフトウェア資産は、不正コピーやライセンス違反を防ぐための管理が求められます。
従業員が持つ知識やノウハウ
形として存在しない無形の情報も、価値ある情報資産です。例えば、特定の従業員だけが知っている製造技術や、長年の経験で培われた営業ノウハウ、専門的な業務知識などがこれに該当します。
人の記憶に依存するこれらの情報は、マニュアル化して組織全体で共有したり、退職による流出を防いだりする対策が重要です。
なぜ情報資産の管理は重要なのか?放置する3つのリスク

情報資産の管理が重要視される背景には、管理を怠ることで生じる重大なリスクが存在します。情報資産への脅威は、サイバー攻撃や内部不正、過失による紛失など多岐にわたります。
これらの脅威から情報を守れない場合、組織の存続を揺るがす事態に発展しかねません。また、個人情報保護法をはじめとする法令を遵守する観点からも、適切な情報管理は組織の社会的責務です。
リスク1:情報漏洩による社会的信用の失墜
情報資産管理を怠ることで発生する最大のリスクの一つが、情報漏洩による社会的信用の失墜です。顧客情報や個人情報、取引先の機密情報などが外部に漏洩するインシデントが発生すると、組織のブランドイメージは大きく傷つきます。
特に、従業員の不正な持ち出しや記憶媒体の紛失、サイバー攻撃による漏洩は管理体制の甘さを露呈させ、顧客や取引先からの信頼を失う直接的な原因となります。
リスク2:事業継続を脅かす損害賠償や行政処分
情報漏洩は、金銭的な損害にも直結します。
漏洩した情報が悪用されれば、被害を受けた個人や組織から損害賠償を請求されるリスクも伴うでしょう。特に、マイナンバーのような特定個人情報の漏洩は、個人情報保護法に基づき厳しい行政処分や刑事罰の対象となるケースも少なくありません。
多額の賠償金や罰金は、組織の財務状況を圧迫し、事業の継続を困難にさせる要因となり得ます。
リスク3:顧客離れやビジネスチャンスの損失
一度失った社会的信用を回復するのは容易ではなく、情報漏洩は顧客離れを引き起こす大きな要因となります。セキュリティ体制に不安を抱いた顧客が、競合他社のサービスに乗り換えることは十分に考えられるでしょう。
さらに、組織の信用低下は新規顧客の獲得や新たなビジネスチャンスにも悪影響を及ぼしかねません。重要な技術情報や開発計画が漏洩すれば、組織の競争優位性が失われ、長期的な成長が阻害されることにもなります。
情報資産管理をはじめるための5つのステップ

情報資産管理とは、組織内に存在する情報資産を特定し、その価値やリスクを評価したうえで、適切なセキュリティ対策を講じる一連の活動です。
情報資産を適切に管理・活用するためには、国際的な情報セキュリティの規格であるISMS(ISO27001)の考え方に基づいた体系的なアプローチが有効です。ここでは、情報資産管理をはじめるための具体的な5つのステップを解説します。
ステップ1:組織内に存在する情報資産をすべて洗い出す
情報資産管理の最初のステップは、自組織が保有する情報資産をすべて洗い出し、可視化することです。
各部署の担当者にヒアリングをおこない、業務で使用しているファイルサーバー内のデータ、紙の書類、利用しているクラウドサービスなどを網羅的にリストアップします。この情報資産の把握が、後の分類やリスク評価の基礎となるため、漏れなくおこなうことが重要です。
ステップ2:機密性・完全性・可用性(CIA)で情報を分類する
洗い出した情報資産は、情報セキュリティの3つの要素である「機密性」「完全性」「可用性」(CIA)の観点から評価し、分類しましょう。
機密性(Confidentiality)は許可された者だけがアクセスできること、完全性(Integrity)は情報が正確で改ざんされていないこと、可用性(Availability)は必要な時にアクセスできることを指します。この評価に基づき、情報の重要度に応じて「極秘」「秘」「社外秘」といったレベル分けをおこないます。
この情報資産の分類が、セキュリティ対策の優先順位付けに役立つのです。
ステップ3:情報資産管理台帳を作成し管理責任者を決める
洗い出しと分類が完了したら、「情報資産管理台帳」を作成して情報を一元管理します。
台帳には、各情報資産の名称、分類、保管場所、そして管理責任者を明記しなければなりません。管理責任者を明確にすることで、情報の取り扱いに関する責任の所在がはっきりするからです。
この台帳は、組織内のセキュリティポリシーや具体的な運用マニュアルを作成する際の基礎資料となります。
ステップ4:分類した情報ごとにリスクを評価する
次に、情報資産ごとにどのようなリスクが存在するかを評価します。このプロセスはリスクアセスメントと呼ばれるものです。
例えば、「顧客情報データベース」という資産に対して、「不正アクセスによる情報漏洩」や「担当者の誤操作によるデータ消失」といったリスクが想定できます。そして、それぞれのリスクが発生する可能性と、発生した場合の影響度を分析し、リスクの大きさを評価します。
詳しい評価方法などは以下の記事でもご紹介していますので、本記事とあわせてご一読ください。
ステップ5:リスクに応じたセキュリティ対策を実施する
リスク評価の結果、対策が必要と判断されたリスクに対して、具体的なセキュリティ対策を計画・実施していきましょう。
情報資産を守るための対策には、アクセス制御の強化、データの暗号化、定期的なバックアップ、従業員へのセキュリティ教育、サイバーセキュリティツールの導入などがあります。リスクの大きさに応じて適切な対策を講じることで、効率的かつ効果的な情報セキュリティ体制の構築が可能です。
情報資産管理台帳に記載すべき必須項目とは?

情報資産管理台帳の目的は、組織内の情報資産の現状を正確に把握し、一元的に管理することです。この目的を達成するためには、台帳に記載すべき必須の要素(項目)が存在します。
これらの項目を網羅することで、誰が、どの情報を、どこで、どのように管理しているかが明確になり、実効性のある管理体制の基盤が整います。
管理番号と資産の名称
情報資産を効果的に管理するためには、台帳上での重複や混同を避けるための識別方法を検討しましょう。例えば、各資産に識別子を付与することが考えられます。
また、資産の名称は「〇〇年度顧客リスト」や「△△プロジェクト企画書」のように、内容が具体的に分かるように記載することが重要です。
情報資産の分類
管理ステップで評価した、情報の重要度分類を記載します。具体的には、前述のステップ2のCIA評価に基づき、「極秘」「秘」などの機密性レベルを記載します。
この分類は、アクセス権限の設定や取り扱いルールを決定する際の基準となるからです。
保管場所と保管形態
情報資産が物理的にどこに保管されているかを具体的に記載します。
電子データであれば「〇〇部ファイルサーバー内△△フォルダ」、紙媒体であれば「本社営業部書庫のキャビネットB」のように、場所を特定できるように記述する点もポイントです。また、ファイル形式や書類といった保管形態も併せて記録しておきましょう。
管理責任者とアクセス権限者
その情報資産の管理における最終的な責任を持つ「管理責任者」の氏名や役職を明記します。加えて、その情報にアクセスすることが許可されている部署や担当者(アクセス権限者)も具体的に記載しておく必要があります。
これにより、責任の所在と情報の利用範囲が明確になるでしょう。
保存期間と廃棄方法
情報資産には、法律で定められた保存期間や組織内規定に基づく保存期間があります。台帳にはその期間を明記し、いつまで保管すべきかを管理しましょう。
また、保存期間が終了した後の廃棄方法(例:シュレッダー処理、データ消去ソフトによる完全消去)も定めて記載することで、情報資産のライフサイクル全体を適切に管理できます。
情報資産を守るツールの活用

情報資産の数が増え、多様化するなかで、すべての資産をExcelやスプレッドシートなどの手作業で管理するには限界があります。管理漏れや更新の遅れは、セキュリティリスクに直結する重大な問題です。
そこで有効なのが、情報資産管理を支援する専用の管理ツールです。ツールを活用することで、管理業務を効率化し、セキュリティレベルの向上が見込めます。
弊社が提供するIT資産管理ツールSS1/SS1クラウドでは、PCのハードウェア情報やソフトウェアライセンスの自動収集をはじめ、USBメモリ等のデバイス利用制限、Web閲覧やファイル操作のログ取得など、情報資産の安全な管理に必要な機能を搭載しています。
組織ごとの環境にあわせて必要な機能だけを選択できるため、無駄なく効率的な情報資産管理体制を構築可能です。製品の詳細は下記のWebサイトをご参照ください。
また、弊社ではIT資産管理ツールを活用したセキュリティ対策に関するオンデマンドセミナーも配信しています。一度のお申し込みですべてのセミナーを視聴可能ですので、ぜひお申し込みをご検討ください。
まとめ

情報資産は、組織の競争力を支える重要な経営資源の一つです。顧客情報から従業員のノウハウまで正確に把握し、適切な管理をおこなうことは、情報漏洩などのリスクから組織を守り、事業を継続させるのに欠かせません。
本記事で解説した管理ステップを参考に、自組織の状況に合わせた管理体制を構築することが重要となります。
IT資産管理ツールSS1/SS1クラウドを開発・販売している、株式会社ディー・オー・エスの営業企画部メンバーで構成されています。IT資産管理・ログ管理・情報セキュリティ対策など、情シス業務の効率化に役立つ最新トレンド情報を随時発信中!

セミナー情報