IT資産管理の目的・必要性
1.適切なコスト管理
どのようなIT資産がどれだけ存在しているのかを正確に把握することは、組織におけるコスト最適化につながります。
例えば新入社員に対し新たにPCを割り当てる必要があったとします。その際、いま組織としてどれだけのPCを保有しているのかを知らなければ、「遊休資産として余っていた端末があるのにも関わらず、新たなPCを余分に購入してしまった」といった事態を引き起こしかねません。これはそのほか有償契約が付随するIT資産においても同様です。
日頃から組織内のIT資産の全容をきちんと把握しておくことで、このようなリスクを未然に防ぐことができます。
2.コンプライアンス遵守・ガバナンス強化
IT資産管理は、組織内のIT機器がルール通りに運用されているか、不正行為がおこなわれていないかといったチェック体制の構築にも必要不可欠です。
特に、ソフトウェア資産管理(SAM)が代表的な手法といえます。SAMでは、ソフトウェアライセンスの保有状況やインストール先を管理し、正しく利用されているかを確認します。ソフトウェアは著作物であり、使用にはライセンスが必要なため、管理を怠ると著作権侵害となる可能性があります。
よって、ソフトウェアライセンスの適切な管理は、コンプライアンス遵守やガバナンス強化につながるのです。
3.セキュリティ対策
IT資産管理を徹底することで、PC端末の脆弱性を突いた外部攻撃や、内部不正による情報漏洩の防止が可能となります。
OSやアプリケーション、ウイルス対策ソフトのバージョン管理を通じてマルウェア感染のリスクを軽減でき、またUSBメモリなど外部記憶媒体の利用制御により、情報持ち出しの抑止効果もあります。
IT資産管理によって、誰が・いつ・どの端末で・どの記憶媒体を使用したかを可視化することで、ポリシーの実効性を確認しながらセキュリティ対策を強化できます。
4.ゼロトラスト時代の基盤構築
IT資産管理は、ゼロトラストモデル実現にも必要な要素です。
ゼロトラストモデルを構築するうえでは、「組織が保有する各種資産」の特定が非常に重要となります。さまざまなセキュリティソリューションを導入するにあたっては、組織の資産を網羅的に把握できていることが必須であるためです。
組織内にどのようなIT資産があり、誰が使用しているのか。同時に、管理できていないデバイスやWebサービス利用がないか。IT資産管理によってこうした現状を正しく把握することで、ゼロトラストの基盤を構築できます。
5.SaaSの適切な管理
近年では、組織内で利用しているSaaSも「IT資産管理」業務の一部とされています。
テレワークの増加により、日々の業務効率化に役立つツールとして広く普及したSaaSですが、いつでもどこでも業務をおこなえる反面、「どこにでも情報を持ち出せてしまう」というリスクも存在します。組織として利用を許可していないSaaSを利用して業務ファイルを自宅に持ち帰ったり、ファイルのやり取りをおこなったりといった「シャドーIT」が問題視されているのです。
こういった課題を解決するために、組織内のSaaS利用状況やアカウント情報も「IT資産」の一部として管理する風潮が広まっています。