【選定チェックリストあり】法人リモートコントロールツールの選び方と比較

この記事を要約すると

・リモートコントロールは、ヘルプデスク業務の効率化テレワークPCの円滑な管理サーバーメンテナンスの時間からの解放を実現する。

・法人利用で無料ツールはセキュリティ(ログ管理)不足のため不向き。不正アクセスリスクとライセンス体系(単位)、プライバシー配慮を検討すべき。

・ツール選定は、「セキュリティ(監査ログ)」「IT資産管理連携」「VPNに依存しない接続性」「操作性」「運用コスト」の5点で評価する。

「社内からのPCに関する問い合わせ対応に追われている」
「テレワーク中の従業員のPCトラブルに迅速に対応できない」

情報システム部門のこのような課題を解決する有効な手段が「リモートコントロール」ツールです。しかし、法人で利用するには、メリットを活かしつつセキュリティリスクなどの注意点にも対処しなくてはなりません。

本記事では、情報システム部門の担当者様に向けて、自社に最適なリモートコントロールツールを選ぶための具体的なチェックリストを、メリット・注意点の両面から詳しく解説します。

いますぐチェックリストだけを確認したい方は、こちらからご参照ください。

リモートコントロールとは?リモートデスクトップとの違い

リモートコントロールとは、その名の通り遠隔(リモート)で機器を操作(コントロール)する技術のことです。
手元のPCからネットワークを介して、離れた場所にある別のPCやサーバーのデスクトップ画面を呼び出し、まるで目の前にあるかのようにマウスやキーボードで操作できます。

よく似た言葉に「リモートデスクトップ」がありますが、両者には以下のような違いがあります。
※製品により動作は異なります

リモートコントロールリモートデスクトップ
画面共有操作する側・される側の両方で同じ画面を見ながら操作できる
操作する側のみが画面を占有し、接続先PCは通常ロック状態になる
(Windows標準のリモートデスクトップ接続(RDP)の場合)
主な目的サポート、メンテナンス、共同作業自分のPCへの外部からのアクセス、業務利用
利用シーンヘルプデスク、遠隔地のPCトラブル対応テレワーク、外出先からの自席PC操作

簡単にいえば、二人で同じ画面をみながら一緒に作業できるのが「リモートコントロール」、一人で自分のPCを遠隔から使うのが「リモートデスクトップ」とイメージすると分かりやすいでしょう。

この「画面を共有できる」という特性から、リモートコントロールは特に組織のヘルプデスク業務などにおいて有効なツールであるといわれています。

法人利用におけるリモートコントロールの3大メリット

法人、特に情報システム部門がリモートコントロールを導入することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。代表的な3つのシーンを確認していきましょう。

ヘルプデスク業務の大幅な効率化

Before
電話やメールで状況を聞き取るものの、要領を得ない説明で原因特定に時間がかかります。結局、従業員の席まで移動して対応することになり、多くの時間を費やしてしまいます。

After
リモートコントロールを使えば、従業員のPC画面を直接見ながら操作できるため、口頭での説明が不要になります。
原因の特定から解決までがスピーディに進み、担当者の移動時間を削減できます。結果として、より多くの問い合わせに迅速に対応できるようになります。

テレワーク・多拠点PCの円滑な管理

Before
テレワーク中の従業員から「PCの調子が悪い」と連絡があっても、すぐに対応できません。ソフトウェアのインストールや設定変更のために、PCを本社に送ってもらう必要があり、業務が長時間ストップしてしまうことになります。

After
ネットワークに接続されてさえいれば、自宅やサテライトオフィスにあるPCにもリモートコントロールで接続できます。必要なソフトウェアの配布や設定変更、トラブルシューティングを遠隔で完結できるため、従業員の作業ダウンタイムを最小限に抑えられます

サーバーメンテナンスの場所と時間からの解放

Before
深夜や休日に計画されたメンテナンスのためにデータセンターやサーバールームに出向かなければならず、緊急のトラブルが発生した場合も現場に駆けつけるまで対応が開始できない恐れがあります。

After
安全なネットワーク経由でリモートコントロール接続をおこなえば、オフィスや自宅からでもサーバーメンテナンスが可能です。担当者の身体的負担が軽減されるだけでなく、緊急時にも迅速な対応が取れるようになり、事業継続性の向上に貢献します。

リモートコントロール導入前に知るべき注意点

多くのメリットがある一方で、リモートコントロールの導入には慎重に検討すべき注意点も存在します。特に法人利用では、これらのリスクを理解し、適切な対策を講じることが不可欠です。

セキュリティリスクと必須対策(不正アクセス、情報漏洩)

遠隔から社内PCやサーバーにアクセスできることは、裏を返せば不正アクセスの入口にもなり得ます。ID/パスワードの漏洩によるなりすまし、通信の盗聴による情報漏洩など、リスクは多岐にわたります。

安易なツール選定は、重大なインシデントを引き起こす可能性があるため、以下の対策を講じることが重要です。

多要素認証(MFA)
ID/パスワードだけでなく、スマートフォンアプリなどを組み合わせた認証で不正ログインを防ぐ。

通信の暗号化
通信経路を暗号化(SSL/TLSなど)し、第三者によるデータの盗聴を防ぐ。

アクセス制御・ログ管理
「誰が」「いつ」「どのPCに」接続し、「何をしたか」を記録・監視する。

脆弱性管理
ツール自体の脆弱性を放置せず、常に最新バージョンへアップデートする。

無償ツールは非推奨

手軽に導入できる無償ツールも存在しますが、法人、特に組織的な管理が求められる情報システム部門での利用は推奨されません。その理由は、主に以下の3つの点で機能が不足しているためです。

ログ管理機能の欠如

無料ツールの多くは、監査の要件となる「いつ、誰が、どのPCに接続し、何をしたか」という詳細な操作ログを取得・管理する機能がありません。問題発生時の原因追跡や、内部不正の抑止が困難になります。

柔軟なアクセス制御ができない

従業員ごと、あるいは部署ごとに「ファイル転送を禁止する」「特定の操作のみ許可する」といった、組織のセキュリティポリシーに応じた柔軟な権限設定ができない場合があります。

組織的なサポート体制の不在

トラブル発生時に、ベンダーからの迅速なサポートは期待できません。業務への影響が深刻化するリスクがあります。

これらの理由から、法人利用ではセキュリティガバナンスを担保できる有料ツールを選定することが原則となります。

導入・運用コストの考え方(ライセンス体系の比較)

法人向けツールには相応のコストがかかります。単純な初期費用だけでなく、自社の利用形態に合ったライセンス体系かを見極めることが、長期的なコスト最適化につながります。

オペレーター(操作する側)単位
サポート担当者の人数分のライセンスを購入する体系。管理対象のPC台数が多い場合にコストを抑えやすい。

管理対象PC(操作される側)単位
リモートコントロールしたいPCの台数分のライセンスを購入する体系。少数のPCを多くの担当者で管理する場合に適しています。

同時接続数単位
同時にリモートコントロールをおこなうセッション数で課金される体系。利用頻度が低い場合に有効ですが、緊急時に接続できなくなるリスクもあります。

自社のヘルプデスク担当者数、管理対象PC数、利用頻度を考慮し、最適な料金体系のツールを選びましょう。

従業員のプライバシーへの配慮とルール作り

リモートコントロールは従業員のPCを直接操作できるため、プライバシーへの配慮が不可欠です。「常に監視されている」という不信感を招かないよう、利用ルールを明確に定め、全従業員に周知徹底することが重要です。

ルールの例
・接続時は必ず事前にチャットや電話で通知し、相手の許可を得る。
・業務に関係のないファイルは開かない。
・サポート対応の目的外で利用しない。
など

法人向けツール選定のためのチェックリスト

前述の注意点を踏まえ、自社に最適なツールを選ぶための具体的なチェックリストをみていきましょう。以下の5つの観点で評価することをおすすめします。

【セキュリティ】監査に耐えるログ管理とアクセス制御ができるか
□ 接続ログ(いつ、誰が、どのPCに接続したか)を取得できるか
□ 操作ログ(ファイル転送、設定変更など)まで詳細に記録できるか
□ ユーザーやグループ単位で、ファイル転送禁止などの機能制限ができるか
□ 多要素認証やIPアドレス制限に対応しているか

【管理効率】IT資産管理とシームレスに連携できるか
□ IT資産管理台帳の情報を確認しながらリモート接続できるか
□ 過去のトラブル対応履歴を参照しながらサポートできるか
□ ソフトウェア配布など、他の管理機能と連携して作業を完結できるか

【接続性】VPNの有無に依存せず、多様な環境から接続できるか
□ 社内LANだけでなく、インターネット経由での接続に対応しているか
□ VPNがない自宅やサテライトオフィスのPCにも安全に接続できる仕組みがあるか
□ 接続先のPCがスリープ状態でも起動して接続できる機能(Wake on LAN)があるか

【操作性】現場の対応を迅速化する機能が揃っているか
□ 画面転送がスムーズで、操作の遅延がストレスにならないか
□ 複数のモニターを利用しているPCの画面を正しく表示・操作できるか?
□ 修正プログラムなどを安全に送受信できるファイル転送機能があるか
□ 相手に操作を指示しやすい描画機能やポインター機能があるか

【運用】事業規模にあったコストとサポート体制か
□ 自社の利用規模(PC台数、担当者数)に適したライセンス体系を選べるか
□ 導入や運用で困った際に、日本語で迅速なメーカーサポートを受けられるか
□ 将来の拠点増やテレワーク拡大にも対応できる拡張性があるか

ツール導入・展開を成功させるための3ステップ

最適なツールを選定したあとには、スムーズな導入・展開が望まれます。以下の3ステップで進めましょう。

利用ルールの策定と周知

「従業員のプライバシーへの配慮とルール作り」で解説した内容をもとに、自社の実情に合わせた公式ルールを定めます。
そして、リモートコントロールを実施する目的、メリット、プライバシー保護のルールを全従業員に説明し、理解を得ます。

段階的な導入

まずは情報システム部門内や、特定の部署に限定してテスト導入します。
操作性の確認や、想定外の問題点の洗い出しをおこない、本格展開に向けた課題をクリアにします。

本格展開とフィードバック収集

全社へ展開した後も、利用者からのフィードバックを収集し、ルールの見直しやよりよい活用方法の共有を継続的に行います。

IT資産管理と一体化で選ぶなら「SS1」

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これまで、法人向けリモートコントロールツールの選定項目をご紹介してきました。 
実はこれらの選定項目に対応するのが、ディー・オー・エスが提供するIT資産管理ツール「SS1」です。

画面共有での遠隔操作を可能にするSS1「リモートコントロール」機能

SS1は、IT資産管理を基盤とした運用をサポートするツールです。
なかでもオプション機能である「リモートコントロール」は、情報システム部門のヘルプデスク業務を強力に支援します。

PCトラブル時に画面を共有しメンテナンスがおこなえるため、問題解決だけでなく、使用者に対するレクチャーにも活用できるといった副次的な効果も期待できます。

VPN不要でテレワークを支援する「インターネットリモコン」

VPN環境がない自宅や外出先のPCに対するリモート操作をおこないたい場合は、「インターネットリモコン(SS1 iRemote)」オプションがおすすめです。これにより、テレワーク環境のサポートもスムーズになります。

詳しい機能については、インターネットリモコン(SS1 iRemote)のページをご覧ください。

リモートコントロールIT資産管理の基盤と統合すると、PCの状況を正しく把握しながらトラブルに対応可能になります。ITに詳しくない利用者に対して細かなヒアリングをする必要がなくなるため、管理業務が大幅に効率化されるのです。

SS1に搭載されているそのほかの機能については、SS1機能一覧ページでご確認いただくか、具体的な構成がわかる資料をダウンロードしてご覧ください。

まとめ

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リモートコントロールは、ヘルプデスク業務の効率化や多様な働き方への対応に不可欠なツールです。しかしその導入には、セキュリティリスクやプライバシーへの配慮といった注意点も伴います。

法人として導入効果を高めるためには、本記事で提示した「選定チェックリスト」をもとに、IT資産管理との連携も視野に入れて自社の要件に合ったツールを選ぶことが重要です。本記事が貴社のツール選定の一助となれば幸いです。

より詳しい情報や、貴社の課題に合わせたSS1の具体的な活用方法については、お気軽にお問い合わせください。

著者プロフィール
SS1LAB編集部
IT資産管理ツールSS1/SS1クラウドを開発・販売している、株式会社ディー・オー・エスの営業企画部メンバーで構成されています。IT資産管理・ログ管理・情報セキュリティ対策など、情シス業務の効率化に役立つ最新トレンド情報を随時発信中!