ゼロトラストとは?最新の仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく解説

ゼロトラストとは、「何も信頼しない」という原則にもとづく次世代のセキュリティモデルです。

本記事では、ゼロトラストの仕組み・従来対策との違い・メリット・デメリット・7つの技術要素・導入5ステップまで、初めての方にもわかりやすく解説します。
組織のセキュリティ強化を検討するうえでの参考にしてください。

ゼロトラストモデル

ゼロトラストモデルとIT資産管理

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ゼロトラストとは「何も信頼しない」を前提としたセキュリティの考え方

ゼロトラストの基本原則は、2010年にアメリカの調査会社Forrester Research社によって提唱されました。特定の製品名やIT用語の略称ではなく、「セキュリティに対する考え方」そのものを指す言葉である点が特徴です。

ゼロトラストの目的は、組織内・組織外という区別に頼らず、すべてのアクセスを検証することで情報資産を守ることにあります。この考え方は、従来のセキュリティ対策の前提を大きく覆すものです。

なぜ従来モデルでは通用しなくなったのか、まずはその違いからみていきましょう。

従来の境界型防御モデルとの根本的な違い

従来の境界型防御が「信じよ、されど確認せよ(Trust but Verify)」の発想であるのに対し、ゼロトラストは「決して信頼せず、必ず確認せよ(Verify and Never Trust)」を原則としています。

従来型の境界型防御モデルは、組織のネットワークを城壁のようにファイアウォールで囲み、その内側を「安全」、外側を「危険」と明確にわける考え方です。一度VPNなどで内部ネットワークへ侵入を許可すれば、そのなかにあるサーバーや情報資産へは比較的自由にアクセスできる仕組みでした。

これに対しゼロトラストは、組織内外を問わずすべてのアクセスを信用しません。オンプレミス環境を前提とした境界型防御や多層防御とは異なり、アクセスごとにユーザーやデバイスの正当性を検証する点が根本的な違いです。

従来の境界型防御モデル(Trust but Verify)とゼロトラストセキュリティモデル(Verify and Never Trust)の比較図

比較すると、ゼロトラストは内部での不正な動きも検知しやすいモデルといえます。

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ゼロトラストが今、注目を集める3つの背景

ゼロトラストの必要性が高まっている背景には、IT環境の大きな変化があります。ここでは、なぜゼロトラストに注目が集まっているのか、その具体的な理由を3つの側面からみていきます。

背景1:テレワークの普及による働く場所の多様化

1つ目の背景は、テレワークやリモートワークの普及です。これまでのように、職員が組織のオフィスという決まった場所から組織内システムにアクセスするだけでなく、自宅や外出先など、さまざまな場所からリモートで業務をおこなうのが一般的になりました。

これにより、組織内と組織外の境界が曖昧になり、従来の境界型防御では安全を確保しにくくなっています。どのような場所からのリモートアクセスであっても安全性を検証できるゼロトラストが、いま求められているのです。

背景2:クラウドサービスの利用拡大

2つ目は、SaaS・IaaSといったクラウドサービスの利用拡大です。

総務省「令和7年通信利用動向調査」によれば、企業のクラウド利用率は令和3年の70.4%から令和7年に83.5%まで拡大しました。部門ごとの個別導入で利用状況が見えにくくなり、境界の内外という区分では守り切れません。

アクセス単位で「誰が・どのデバイスから・どのクラウドへ」を検証・可視化するゼロトラストの仕組みが不可欠です。

参考

背景3:サイバー攻撃の巧妙化と内部不正リスクの増大

3つ目の背景は、サイバー攻撃の巧妙化と内部不正のリスク増大です。

近年は、生成AIを悪用したフィッシングメールやディープフェイク、AIエージェントを乗っ取る新たな攻撃手法も登場しており、脅威はこれまで以上に高速・広範囲に進化しています。また、悪意のある従業員による内部不正や、意図しない操作による情報漏洩のリスクも無視できません。

境界型防御では、一度突破されると内部での不正な活動を防ぐことが難しいという問題がありました。ゼロトラストは、すべての通信を監視・検証し、AIを活用した振る舞い分析(UEBA)やアイデンティティ脅威検知(ITDR)などを組み合わせることで、こうした最新の脅威に対応できるセキュリティ対策として有効です。

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ゼロトラスト導入によって得られる4つのメリット

ゼロトラストは、単なるセキュリティ強化にとどまらず、組織の働き方やIT運用そのものにも変化をもたらします。ここでは、ゼロトラストの導入によって得られる主な4つのメリットを紹介します。

メリット1:場所を問わない柔軟な働き方の実現

ユーザーとデバイスの安全性が確認されれば、組織内・組織外の区別なく同じ体験でシステムに接続できるため、ハイブリッドワークや副業・時短勤務など多様な働き方を、セキュリティを損なうことなく実現できます。PCに加え、スマホなどのモバイル端末からのアクセスも安全に管理できる点もメリットです。

メリット2:クラウドサービスを安全に活用できる

ゼロトラストの考え方を適用すると、組織内で使われているクラウドサービスへのアクセスをアクセス単位で制御できます。許可されていないサービスの利用(シャドーIT)を抑止し、組織が認めたサービスのみを安全に利用させることが可能です。

SASE(Secure Access Service Edge)などのソリューションと組み合わせることで、さらに強固なセキュリティ環境を構築できるでしょう。

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メリット3:セキュリティ管理の効率化と運用負荷の軽減

従来の境界型防御では、ファイアウォールやVPNなど複数のセキュリティ製品を個別に管理する必要があり、運用が複雑化しがちでした。

ゼロトラストアーキテクチャでは、認証基盤を統合し、アクセスログを一元的に収集・分析することが可能となります。セキュリティポリシーの適用やインシデント発生時の原因調査が迅速化され、効率的なセキュリティ管理が実現します。

メリット4:内部不正をはじめとする情報漏洩リスクの低減

ゼロトラストは「性悪説」にもとづき、内部ネットワークからの通信もすべて監視・検証する仕組みです。ユーザーのアクセス権限を最小限に絞り、すべての操作ログを記録することで、悪意のある従業員による内部不正や、権限の濫用を効果的に抑止します。

万が一、不正な操作がおこなわれた場合でも、通信ログから迅速に検知し、被害の拡大をおさえられます。結果として、組織全体の情報漏洩リスクを効果的に低減できるでしょう。

ゼロトラスト導入前に知っておきたいデメリットと注意点

ゼロトラストは多くのメリットがある一方で、導入にはいくつかのデメリットや注意点も存在します。移行を成功させるためには、これらの課題を事前に理解し、計画的に進めることが重要です。

ここでは、導入前に把握しておくべき3つのデメリットを解説します。

デメリット1:導入・運用にコストがかかる場合がある

ゼロトラストを実現するためには、多くの場合、新しいセキュリティソリューションの導入や既存システムの構成変更が必要です。これに伴い、ライセンス費用や導入支援サービスなどの初期コストが発生します。また、導入後もシステムの運用・保守に継続的な費用がかかる場合があります。

ただし、長期的にはセキュリティインシデントによる損害を防いだり、運用効率化によって人件費をおさえたりできるため、費用対効果を総合的に判断することが大切です。価格や機能のバランスをみて、自組織にあったソリューションを選定する必要があります。

デメリット2:一時的に業務の利便性が低下する可能性

ゼロトラストでは、アクセスのたびに厳格な認証が求められるため、ユーザーによっては一時的に業務の利便性が低下したと感じる可能性があります。例えば、多要素認証の導入により、ログインまでにかかる手間が増えることなどが考えられます。

こうした不満が業務効率の低下につながらないよう、導入前には従業員への丁寧な説明をおこない、理解を得ることが不可欠です。SSO(シングルサインオン)やパスキー、リスクベース認証など、認証プロセスをできるだけスムーズにするためのソリューションを選定するなどの工夫も求められます。

デメリット3:情報システム部門の対応負荷が増えることも

ゼロトラストの導入初期段階では、情報システム部門の対応負荷が増加する可能性があります。

保護すべき情報資産の洗い出しやアクセスルールの設計、新しいツールの導入・設定など、おこなうべき作業が多岐にわたるためです。導入後に従業員からの問い合わせが増えたり、トラブルシューティングに追われたりすることも想定されます。

計画段階で十分なリソースを確保し、必要に応じて外部の専門家の支援を受けるなど、負荷を分散させるための対策を検討することが重要です。

ゼロトラストを実現するための7つの主要な技術要素

米国の国立標準技術研究所(NIST)は、2020年に概念定義となる「SP 800-207」を、2023年にマルチクラウド環境向けの補完文書「SP 800-207A」、そして2025年6月には24ベンダーとの実証にもとづく実装ガイド「SP 1800-35」を公開しました。

これらは概念から実装までを段階的に示す最新のリファレンスであり、日本でもIPA(情報処理推進機構)が「ゼロトラスト導入指南書」でゼロトラストを構成する技術要素を解説しています。

ここでは、これらの整理をもとに、実務上よく取り上げられる7つの主要な領域と技術について解説します。

参考

ID管理(IAM):アクセス権限を厳格に管理する

ID管理(IAM:Identity and Access Management)は、ゼロトラストの認証基盤の中核となる仕組みです。「誰が」「何に」アクセスするのかを制御し、適切な権限を付与する役割をもちます。

具体的には、IDとパスワードに加えて複数の要素で本人確認をおこなう多要素認証(MFA)や、役職や職務に応じてアクセス権限を最小限に絞る「最小権限の原則」を適用します。これにより、不正なログインやなりすましを防ぎ、正規のユーザーのみに必要なアクセスを許可します。

IDaaS(Identity as a Service)などのクラウドサービスを利用して実現するのが一般的です。

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エンドポイントセキュリティ(EDR):PCやスマホなどの端末を保護する

エンドポイントセキュリティが守るのは、PCやスマートフォン、サーバーなど、ネットワークに接続されるすべての端末です。テレワーク環境ではこれらの端末が攻撃の入り口になりやすく、境界の外側から狙われるリスクが高まっています。

そこで欠かせないのが、従来のウイルス対策ソフト(EPP)に加えて、端末上の挙動を常時監視するEDR(Endpoint Detection and Response)の導入です。EDRは不審なプロセスやファイル操作をリアルタイムで検知し、感染が広がる前に自動で隔離・対応をおこなえるため、マルウェア感染やサイバー攻撃の初期段階で被害を最小限にとどめられます。

あわせて、PCやモバイル端末のOSを常に最新かつ健全な状態に保つパッチ管理も忘れてはなりません。

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ネットワークセキュリティ(ZTNA/SASE/NDR):安全な通信経路を確保する

ネットワークセキュリティの領域では、従来のVPNに代わる新しい技術が用いられます。

代表的なものがZTNA(Zero Trust Network Access)で、ユーザーとアプリケーションを1対1で接続し、不要な通信を許可しません。これにより、万が一端末がマルウェアに感染しても、内部ネットワークでの水平展開(ラテラルムーブメント)を防ぎます。

また、ネットワーク機能とセキュリティ機能をクラウド上で統合して提供するSASE(Secure Access Service Edge)も重要な要素です。SD-WANを活用し、各拠点から直接インターネットへ抜けるローカルブレイクアウトを実現するなど、柔軟なネットワーク構成が可能になります。

SASEのうちセキュリティ機能だけを切り出した「SSE(Security Service Edge)」という概念も広まっており、ZTNA・CASB・SWGなどを統合的に提供するクラウド型サービスとして選択肢が広がっています。

さらに、ネットワーク側の挙動を監視するNDR(Network Detection and Response)を組み合わせれば、「端末」と「通信」の両面から脅威をあぶり出す多層的な検知体制を築けます。

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クラウドセキュリティ(CASB/CWPP):クラウド利用状況を可視化・制御する

クラウドセキュリティは、組織で利用されているさまざまなクラウドサービスを安全に利用するための技術領域で、担当する対象によってCASBとCWPPを使い分けます。

CASB(Cloud Access Security Broker)は、SaaSを中心としたクラウド利用のふるまいを守るソリューションです。従業員がどのクラウドサービスを利用しているかを可視化し、許可されていないサービスの利用(シャドーIT)を発見・抑止するとともに、組織のポリシーにもとづく利用制御やクラウド上のデータ保護(DLP連携)をおこないます。

一方、CWPP(Cloud Workload Protection Platform)は、IaaSやPaaS上で動く仮想マシン・コンテナ・サーバーレスといったワークロードそのものを守るソリューションです。脆弱性管理、ワークロード間のネットワーク分離、ランタイム保護、脅威検知などを担い、クラウド基盤側の設定ミスや攻撃リスクを低減します。

CASBが「クラウドの使い方」を、CWPPが「クラウド基盤そのもの」を守ると整理するとわかりやすく、両者を組み合わせることでシャドーIT対策とクラウド基盤保護の両立が可能になります。

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データセキュリティ:重要データを識別し保護する

データセキュリティは、情報資産そのものを保護することに焦点をあてます。

ゼロトラストでは、ネットワークの境界ではなく、データ自体が防御の対象です。まずは組織内の重要データを特定・分類し、機密性に応じてアクセス制御や暗号化といった適切な保護措置を講じます。

さらに、DLP(Data Loss Prevention)ツールを組み合わせれば、機密ファイルがメール添付やUSBメモリ、クラウドストレージ経由で外部に持ち出される動きを検知・ブロックできます。仮に漏洩が発生しても、暗号化された状態であれば内容そのものは守られるため、被害の深刻化を防ぐ最後の砦としても機能します。

セキュリティ監視(SIEM/SOC):脅威を24時間体制で検知・分析する

セキュリティ監視は、組織内のさまざまなIT機器から収集したログを分析し、サイバー攻撃の兆候を早期に発見するための領域です。SIEM(Security Information and Event Management)ツールを導入してログを一元的に収集・相関分析し、インシデントの予兆を検知します。

さらに、専門のアナリストが24時間365日体制で監視をおこなうSOC(Security Operation Center)を設置または外部委託することで、高度な脅威にも迅速に対応できる体制の構築が可能です。

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デバイス管理(MDM/UEM):モバイル端末を一元管理する

デバイス管理は、業務で利用されるPCやスマートフォン、タブレットなどのモバイル端末を包括的に管理する領域です。MDM(Mobile Device Management)やUEM(Unified Endpoint Management)といったツールを用いて、端末の設定やアプリケーションの配布を一元管理し、セキュリティポリシーを強制的に適用できます。

これにより、紛失・盗難時のリモートロックやデータ消去、OSやソフトウェアを常に最新の状態に保つといった対策が可能になり、端末からの情報漏洩リスクを低減できるでしょう。

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ゼロトラスト導入を成功に導くための5ステップ

ゼロトラストへの移行は、一度にすべてを切り替えるのではなく、計画的に段階を踏んで推進することが成功の鍵です。自組織の現状を正しく把握し、優先順位をつけて取り組むことで、スムーズな構築・設計が可能になります。

ここでは、NIST SP 800-207が示す段階的移行モデルやIPA『ゼロトラスト導入指南書』の実装ステップを参考に、実務でよく採用される5つのステップに整理しました。

ステップ1:保護すべき情報資産の洗い出しと可視化

最初のステップは、自組織が保護すべき最も重要な情報資産(データ、アプリケーション、システムなど)を特定することです。顧客情報や技術情報、財務データなど、漏洩すれば事業に大きな打撃を与えかねないものから優先的に洗い出していきます。

あわせて、それらの情報資産がどこに保管され、誰が、どのような業務のなかでアクセスしているのかを一つひとつ可視化していくことも欠かせません。この作業を通じて、守るべき対象と現在のアクセス経路を明確にすることが、セキュリティレベルを設定するうえでの土台となります。

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ステップ2:現状のセキュリティレベルと課題の評価

次に、洗い出した情報資産に対して、現在のセキュリティ対策がどの程度有効かを評価しましょう。既存の認証方法、アクセス制御、監視体制などを一つずつ棚卸しし、ゼロトラストの考え方に照らしてどこにギャップが潜んでいるのかを丁寧に分析していく必要があります。

例えば、「特定のシステムへのアクセス権限が過剰に付与されている」「クラウドサービスの利用状況が把握できていない」といった具体的な課題が浮かび上がってくれば、次に打つべき一手はおのずとみえてきます。

ステップ3:導入範囲と優先順位の決定

すべてのシステムに一度にゼロトラストを適用するのは、コストやリソースの面で現実的ではありません。そこで、ステップ2で明らかになった課題のなかから、最もリスクが高い領域や、ビジネス上の重要度が高い業務システムなどを優先的な導入範囲として決定します。

例えば、個人情報を扱うシステムや、テレワークで利用頻度の高いアプリケーションからはじめるなど、スモールスタートで導入し、段階的に適用範囲を拡大していくアプローチが効果的です。この優先順位づけが、計画的な移行を実現するうえで重要です。

ステップ4:具体的なソリューションの選定と試験導入

導入範囲と優先順位が決まったら、自組織の課題を解決するために最適なソリューションを選定していきます。まずは「どの資産をどのレベルで守りたいのか」「既存システムとどう連携させたいのか」といった要件を整理しておくと、その後の製品比較がスムーズに進むでしょう。

IDaaSやEDR、ZTNAなど、ゼロトラストを実現する製品は数多く存在するため、整理した要件に照らしながら機能やコスト、サポート体制を比較検討してください。判断に迷う場合は、セキュリティベンダーからの提案やコンサルティングを受けるのもよい選択肢です。

製品選定後は、一部の部門などで試験導入(PoC)をおこない、実際の業務への影響や有効性を検証することが、本格導入の失敗を防ぐうえでおすすめです。

ステップ5:本格導入と継続的な評価・改善

試験導入で効果が確認できたら、いよいよ計画に沿って本格導入へと移行していきましょう。全社展開の段階では、新しい認証フローや運用ルールを従業員が迷わず使いこなせるよう、トレーニングやマニュアルの整備もあわせて進めておくと安心です。

忘れてはならないのは、ゼロトラストが「一度導入すれば完了」というものではないという点です。

導入後も、収集したアクセスログを定期的に分析しながら、新たな脅威や利用状況の変化にあわせてセキュリティポリシーを見直していく必要があります。こうした評価と改善のサイクルを地道に回し続けることで、セキュリティレベルは着実に維持・向上するでしょう。

あわせて、経営層へ定期的にレポート提出し、ゼロトラストの取り組みを組織全体の経営課題として位置づけていくことも欠かせません。

ゼロトラストの今後の展望:AI時代・量子時代に向けた進化

ゼロトラストは、特定の製品を導入すれば完成するものではなく、変化しつづけるIT環境と脅威に対応するための継続的なセキュリティアプローチです。

2025年以降は、生成AI・エージェントAIによる非人間IDの拡大、ポスト量子暗号(PQC)への移行、セッション中も権限を継続的に再評価するCAE(継続的アクセス評価)、ID基盤そのものを狙う攻撃に対応するITDR(IDに対する脅威検知)といった新たな実装手法が加わり、ゼロトラストはAI時代・量子時代に向けて次の段階へと進化しつつあります。

組織にはこうした変化にあわせて、可視化と対策を継続的に見直していく姿勢が求められます。

ゼロトラストに関するよくある質問

ここでは、ゼロトラストの導入を検討する際によく寄せられる質問とその回答を紹介します。基本的な疑問を解消し、理解を深める一助としてください。

Q1.ゼロトラストと従来のVPNはどう違うのですか?

VPNは接続時のみ認証をおこないますが、ゼロトラストは接続後の通信も含めて継続的に検証します。「一度認証すれば終わり」ではなく、アクセスのたびにユーザー・デバイス・通信内容を毎回確認する点が実運用上の大きな違いです。

Q2.ゼロトラストを導入するには、まず何からはじめるべきですか?

ゼロトラストは「守るべき対象」を明確にしないと設計できないため、情報資産の洗い出しからはじめるのが定石です。具体的な進め方は、本記事「導入を成功に導くための5ステップ」をご参照ください。

Q3.すべての組織でゼロトラストは必要なのでしょうか?

必ずしもすべての組織に必須とは限りませんが、テレワークやクラウド利用が進む今、中小規模を含む多くの組織で有効な考え方です。

国内でもデジタル庁が「ゼロトラストアーキテクチャ適用方針」を公表し、経済産業省・IPAも「サイバーセキュリティ経営ガイドラインVer3.0」でサプライチェーン全体を含む対策強化を求めるなど、公的機関の動きも加速しています。

参考

なお、業界特性によってゼロトラストの必要度や導入の勘所は変わります。

医療機関のように機微な個人情報を扱う組織では、電子カルテや院内システム、外部連携の増加などから、とくに重要性が高まっています。弊社では医療機関様向けに、ゼロトラストモデルを解説したWEBセミナーをご用意しております。

参考

まとめ

ゼロトラストは、クラウド利用やテレワークが普及した現代において、組織の情報資産を守るために欠かせないセキュリティの考え方です。従来の境界型防御に依存せず、すべてのアクセスを厳格に検証することで、巧妙化するサイバー攻撃や内部不正のリスクを低減できます。

導入にあたっては、まず自組織の情報資産を正しく把握し、優先順位を決めて段階的に進めることが大切です。一度構築して終わりではなく、最新の脅威や運用の変化にあわせて継続的な評価と改善を繰り返す姿勢が求められます。

本記事で解説した内容を参考に、安全なビジネス環境の構築に向けた第一歩を踏み出してください。

ゼロトラスト導入の第一歩を支えるIT資産管理ツール「SS1/SS1クラウド」

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ゼロトラストの導入は、「守るべき情報資産の把握」からはじまります。しかし、組織内のPC・サーバー・ソフトウェア・クラウドサービスの利用状況までを手作業で洗い出すのは、多くの組織にとって大きな負担です。

弊社が提供するIT資産管理ツール「SS1(オンプレミス版)」および「SS1 クラウド(クラウド版)」は、組織内のIT機器・インストールソフトウェア・ライセンス・操作ログを自動収集し、「どこに・誰が・どの資産を使っているか」を一元的に可視化します。

ゼロトラストは一度に完成させるものではなく、まずは自組織のIT資産を「見える化」することからはじめるのが現実的です。SS1/SS1クラウドは、その第一歩を支える基盤としてご活用いただけます。

参考
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ゼロトラストモデルとIT資産管理

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SS1LAB編集部
IT資産管理ツールSS1/SS1クラウドを開発・販売している、株式会社ディー・オー・エスの営業企画部メンバーで構成されています。IT資産管理・ログ管理・情報セキュリティ対策など、情シス業務の効率化に役立つ最新トレンド情報を随時発信中!