偽警告やサポート詐欺に注意

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パソコンを使っていると、「ウイルスに感染しています」などの警告メッセージが突然表示されることがあります。ウイルス対策ソフトが検知している訳ではない「偽の警告」ですが、その表示に騙される人がいます。

なぜこのようなメッセージが表示されるのか、その原因と対処法について解説します。

偽警告が表示される理由を知る

偽警告には、大きく分けて2通りのパターンがあります。
1つはWindowsのタスクバーの右端にある通知欄にメッセージが表示されるもの、もう1つはWebサイトを閲覧しているときにメッセージが画面全体に表示されるものです。

1つ目の通知欄については、WebブラウザでWebサイトに通知を許可したために表示されるものです。
通知を許可すると、GmailなどのWebメールでは新着メールが届いたときに通知できますし、Googleカレンダーなどのカレンダーアプリでは打ち合わせなどのタイミングで通知できます。

このように便利な機能ですが、悪質なWebサイトで通知を許可してしまうと、そのWebサイトから通知を自由に送信できてしまうのです。
これにより、下記の図のような警告メッセージを任意のタイミングで表示できます。

0722image01.png
出典

通知を許可してからしばらく経ってから通知が表示されることもあるため、利用者はこのようなメッセージが表示される理由がわからず、戸惑うことも多いものです。

もう1つの全画面メッセージについては、上記のような通知の許可とは無関係に、Webサイトを閲覧している最中に表示されます。

次の図のように全画面でメッセージが表示されており、画面上の閉じるボタンは押せない状況になっているため、初心者はどのように操作すればいいのかわからないものです。

0722image02.png
出典

画面上にはサポート先とされる電話番号が表示されているため、「サポート詐欺」と呼ばれることもあります。
ここに電話をすると遠隔操作ができるように設定を変更させられたり、コンビニでPOSAカードを購入するなどの方法で金銭を要求されたりします。

Webブラウザの通知とCookieへの同意

1つ目のような警告メッセージが表示されるのを防ぐには、Webサイトの閲覧中に通知を許可しないことが重要です。

もちろん、GmailやGoogleカレンダーのように必要な通知であれば許可して問題ないのですが、そうでない場合には許可しないことが重要です。

ここで注意が必要なのは、Webサイトの閲覧中に許可を求められるパターンには大きく分けて2種類あることです。1つ目は「Cookieへの同意」で、もう1つは今回の「通知」です。

1つ目に使われる「Cookie」は、Webサイトを閲覧している利用者を識別するために使われている技術です。

SNSやショッピングサイトなどを利用するときには利用者がログインの操作をしますが、ログインしている状態を管理するために「セッション」という機能が使われます。
このセッションを識別するためのIDをWebブラウザに保存するときに使われるのが、このCookieです。

つまり、この「Cookieへの同意」については同意しないとそのWebサイトが提供するサービスを利用できないこともあります。

ログイン以外にも広告を表示するためにCookieを使用している場合もあり、利用者にとっては追跡されているように感じて不快に思えることはありますが、同意したからといってそれほど問題になることはありません。

0722image03.png Canva(https://www.canva.com)でのCookieの許可を求める例

しかし、2つ目の「通知」については、同意すると今回のようなメッセージが表示される可能性があります。

このため、画面に表示されるメッセージをよく確認し、「Cookie」であれば同意し、「通知」であれば必要かどうかを判断する必要があります。

0722image04.png

𝕏(https://x.com)での通知の許可を求める例

もし、必要でない通知を許可してしまった場合は、この許可を削除しておくとよいでしょう。この削除方法は、使用しているWebブラウザによって異なります。

Edgeを使用しているときは、右上の「...」のボタンから「設定」を開きます。
そして、「Cookieとサイトのアクセス許可」から「通知」を開くと、「ブロック」したサイトと「許可」したサイトが表示されます。

この「許可」したサイトの中から、不要なものを削除します。

0722image05.png

Chromeを使用しているときは、右上の「...」のボタンから「設定」を開きます。

そして、「プライバシーとセキュリティ」から「サイトの設定」と進み、「通知」を開くと、「通知の送信を許可しないサイト」と「通知の送信を許可するサイト」が表示されます。

この「通知の送信を許可するサイト」の中から不要なものを削除します。

0722image06.png

この画面で許可しているサイトに何も表示されなければ、通知機能によって偽の警告が表示されることはありません。

サポート詐欺のメッセージへの対応方法

全画面で表示されるサポート詐欺については、通知の許可の有無とは関係ありません。

Webページ上に表示される広告をクリックするだけで表示されることもありますし、Webサイトを閲覧していて一定の時間が経過したあとで自動的に遷移して表示されることもあります。

このため、警告メッセージが表示されるのを利用者が防ぐことはできません。防げないため、メッセージが表示されたときに、慌てずに消せることが重要です。

警告メッセージはWebブラウザを全画面表示にしてマウスの操作などができない状態になっていますが、エスケープキー(キーボード左上の「ESC」キー)を長押しすることで全画面表示を解除できます。

そして、これによってマウスで操作できるようになり、Webブラウザを閉じられます。基本的には「エスケープキーの長押し」と覚えておくとよいでしょう。

また、「Ctrl」キーと「Alt」キーを押しながら「Del」キーを押して「タスクマネージャー」を開く方法もあります。
「Ctrl」キーと「Alt」キーを押しながら「Del」キーを押すと、次のような画面が表示されます。

0722image07.png

ここで「タスクマネージャー」を選ぶと、次のように実行中のアプリの一覧が表示されます。

0722image08.png

ここから終了したいアプリを選んで、「タスクを終了する」を押すだけです。

この方法は、Webブラウザが最大化している場合だけでなく、さまざまなアプリが実行中に閉じられなくなったときでも使える方法なので、知っておくとよいでしょう。

まとめ

いずれの方法も、一度も操作したことがないと実際に発生したときに焦ってしまって速やかに対応できないものです。
普段から、通知を許可しているサイトを確認し、タスクマネージャーの起動方法を確認しておくとよいでしょう。

また、全画面表示になった場合には「エスケープキーの長押し」などを知っておくと、落ち着いて対応できます。

今回はパソコンについて解説しましたが、スマートフォンでも偽警告が表示されることがあります。
身に覚えのないメッセージが表示された場合には、冷静に対応するようにしましょう。

著者プロフィール
増井 敏克氏(ますい としかつ)
増井技術士事務所代表。技術士(情報工学部門)、情報処理技術者試験にも多数合格。
ビジネス数学検定1級。

「ビジネス」×「数学」×「IT」を組み合わせ、コンピューターを「正しく」「効率よく」使うためのスキルアップ支援や各種ソフトウェア開発、データ分析などをおこなっている。

著書に『図解まるわかり セキュリティのしくみ』『図解まるわかり プログラミングのしくみ』『図解まるわかり アルゴリズムのしくみ』『IT用語図鑑』『IT用語図鑑[エンジニア編]』『Pythonではじめるアルゴリズム入門』『プログラマ脳を鍛える数学パズル』『プログラマを育てる脳トレパズル』(以上、翔泳社)、『プログラマのためのディープラーニングのしくみがわかる数学入門』『プログラミング言語図鑑』(以上、ソシム)、『基礎からのプログラミングリテラシー』(技術評論社)、『RとPythonで学ぶ統計学入門』(オーム社)などがある。

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